2006/01/14

ひょこり にっこり

 去年の9月11日の日記に、JPの海軍時代の同僚の話を書いた。クリストフという。フランスの私の結婚式に来てくれた従姉や友人たちは、彼に会ったことがある。真夏に真っ黒い革ジャンで、しかも時速150キロで走る巨大なオートバイで、結婚祝いに来てくれたあんちゃんだ。

 彼はJPの、世界にただ二人しか居ない友達の一人だ。

9月11日に同時テロの日、うちでテレビを見ながらお茶を飲んでいたら携帯がなった。地中海のフランス軍港であるトゥーロンから、アメリカ軍攻撃に備えて紅海とインド洋の安全管理のため、軍艦が出動することになったので、休み返上で船に戻れという連絡だった。
 それ以来、半年以上音信不通となった。

 フランス海軍は、インド洋と紅海がぶつかる場所にあるジブチという国にも軍港を持っている。地中海から出動した船は、スエズ運河を通って紅海に出る。パキスタンやイランの沖に行くには、ジブチを拠点にしなければならない。クリストフの乗った軍艦は「その辺」をうろうろしていたと思われる。

 ジブチ帰りの青年は、真っ黒に日焼けして、肌の真っ黒なエチオピア人の妻を連れて来た。ひょっこり帰って来た。彼女の名前はとても難しいので私たちは「ベラト」と呼んでいる。
とてもかわいい人だ。エチオピア人ときいたら、身長3メートルぐらいかと思っていたが、彼女は1メートル50センチぐらいしかなく、会ってすぐに親近感が湧いた。
目線が同じ、というのはおつきあいのポイントだ。

 エチオピアという国は、ジブチ・ケニア・ソマリア・エリトニア・スーダンに挟まれた大きな国だ。山あり谷あり、河あり湖ありの自然に溢れた国らしい。いつもベラトが来るというと、私たちはピクニック用品を用意して、森や林に連れて行くことにしている。靴を投げ出して子どもたちと跳ね回る、陽気な女性だ。


 今日、クリストフとベラトに会った。ひょっこり来た。引っ越してから初めて遊びに来た。
今度はベラトのお腹が1メートル以上になっていた。四年待ち望んだ赤ちゃんが、冬の終わりに生まれるのだそうだ。こりゃあ、おめでたい。

 革ジャンを着て、オートバイで走り回り、外国紙幣と持ち物のない暮らしが大好きだったクリストフも、なーんだか、それらすべてが似合わなくなっていた。海軍も辞めて、今年からは陸で暮らすそうだ。うちの側に家を探している。こりゃあ、うれしい。

 赤ちゃんがちょっと大きくなったら、エチオピアの家族に初孫を見せに行くのだそうだ。私たちもついて行きたいねーと言っている。

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