2013/04/12

いい顔してるう〜

3月8〜9日、片道10時間ぐらい掛けて、ブロワという町で、日本剣道連盟から派遣された高田先生の講習会に行った。通訳と昇段審査の研修をさせていただいた。
3月22日から24日まで、ベルギーのブリュッセルで、ヨーロッパに住む日本人女性剣士だけの、講習会に参加した。
3月30〜31日、.ベルジュラックの五神の山道場で10周年記念の稽古会に参加した。
4月6〜7日、アルプス山脈に近いシャンベリーという町で毎年行われている「アルプス杯」というオープン戦に、日本人女性だけのチームを結成して、初参加した。
5週間で4656キロメートル走ったことになる。道に迷ったりもしたし、車が走らなかったこともあった。夜行とタリスも利用したし、運転手着きのドライブもあった。
5週間ずっと遠征してお稽古を続け、締めくくりが友人たちと作ったチームで参加したオープン戦。とおっても楽しかった。写真のわたしはいい顔をしているなあと思う。


五人の仲間の中でも、同じミディピレネー地方でよく会う、トゥールーズの美恵子さんとは、三週連続の週末を「寝食共にした」。車の中でも部屋でも、よくまあ、こんなに話すことがあるねえというぐらい、剣道の話が弾む。ベルギーでも、シャンベリーでも、毎晩二時ごろまで語り合っていた。もっと早く寝ていたら、もっといい結果が出ていたかも、しれない?
 
 「アルプス杯」のリーグ戦で二回の試合をした。リーグ戦の3チームでトップの成績をもらい、トーナメント出場権を真っ先に手にした。カッコいいっ。
 リヨンに住んでいる愛子さんとは、これまで話をしたことさえなかったけれども、彼女の切れ味のある出ばな小手と、信じられないぐらい鋭い逆胴に、ほれぼれ。あっという間にファンになってしまった。彼女に先鋒を押し付けて正解だった。

 ディジョンのまさよさんは、去年から何度も会っている。地方都市の道場で、指導側と習う側に挟まれて、けっこう苦労している彼女は、いろんな所に行って、いろんなことを勉強中。わたしもいろんな所に行っているので、このごろやけに会うのだ。9月の昇段審査の時にはそばにいてくれて、ずいぶん励ましてくれた。はっきりものの言える、けっこうな大ものさんだと信頼している。わたしよりも10歳若いので、後輩みたいに可愛がっているつもりだけど、よく電話してくれて、話し相手になってもらって、助けてもらっている。頼もしいので、まさよさんに大将を任せることには、大賛成だった。まさよさんはみんなに期待を一身に背負って、本当によくがんばってくれた。

 加代子さんは、すごい。今までも「すごい」と思って尊敬していた。この人は強い。怒ったら怖そう。。。の雰囲気がメラメラと浮かぶような立ち会いをする。「アルプス杯」に毎年参加している加代子さんが、このチームの言い出しっぺだし、やはり貫禄から言って、加代子さんが絶対に大将だと思っていたのだけれども、そのご本人が、「まさよさんにしよ」と言った。間違いなかった。その代わり、加代子さんは大事な中堅を引き受けてくれた。さすがだ。でもこの三週間ご一緒して、とても繊細で女らしい人であるとわかったので、ちょっと安心した。とことん鉄のような人だったら、わたしはどちらかというとお友達にしてもらえないだろう。。。。優柔不断なので。。。わたしは。

 美恵子さんとわたしは、「わたしに任せてください」と言えない。そこんとこが「風格が欠ける」と言われる点なのであるけれども、美恵子さんはまじめで、コツコツとやる人だし、おとなしそうに見えてじつは、わたしよりもずっとはっきりものを言える人なので、これからも指導者としてトゥールーズの大きな道場を支えていける人だと思う。そして、ぐんぐん上手になって、わたしを引っ張ってくれると思う。ので、この人に着いて参りますというのが、わたしの方針だ。刺激しあって、意見交換しあって、いっしょにお稽古して、2人揃って上達するというのが、わたしたちのお約束になっている。あと、2人揃って死ぬまで剣道しようね、というのも契約になっているので、去年お互いの故障が続いた時には、お互いに本当に心配した。これからは「疲れてるみたいだから、休みなさい」と叱りあうことも誓い合った。

 加代子さんのご主人は、今シーズンに日本で七段の審査に合格した。久しぶりにお会いできたので、稽古をつけていただいて、本当にうれしかった。
 シルヴァンさんに「懸待一致」という言葉をいただいた。待つばかりでなくて掛かっていく剣道を。むやみに掛かっていかずに、粘り溜める力を蓄える剣道を。リーグ戦が終わって、「下がっちゃいけないヨ」と叱られ、気合い入れて望んだつもりだったのに、トーナメント戦一回戦で、後ろに下がって、場外反則を三回も取られた。相手はほとんど初心者のような人だったのに、何もできないままに5分が過ぎ去り、わたしの場外反則が二回の時点で、相手に一本あげてしまったものだから、笛が鳴ったら「めちゃくちゃな試合」のまま、なだれ込みでわたしの負けになった。

 あああ〜、このまま帰宅なんてええ〜。4656キロメートルの果てが、場外反則なんて〜。試合が終わり、日曜日から月曜日にさしかかる真夜中に、そおっと玄関のドアを開け、負け犬のように自宅に入った。「負け犬のように」って、負け犬じゃん。ヘロヘロに疲れているのに、お昼の試合が頭を駆け巡り、眠れない。。。月曜日は中学でお習字の授業があり、夜は剣道のお稽古。お習字では「基本が大事です」とか「一番簡単そうに見える漢字が一番難しいんです」とか「失敗したら、新しい紙に書き直してください」とかなんとか、生徒にそんなことを言いながら、前日の試合の反省を。そして、夜のお稽古では、「アルプス杯」の前日に行われた講習会で習った動作を、いっしょうけんめい復習して、前日の試合の反省を。

 打って反省。打たれて感謝。打ってないけど反省。打たれて悔しいけど、とりあえず、良いお勉強になったので、感謝感謝。

 昨日、90歳になる千葉の高崎先生の立ち会いをビデオで観た。45歳のわたしの方がよっぽどトロい。「人生90年、やっとUターン地点」と思っていたのは昨日まで。今まさにスタート地点に来たところ。ますますやる気のわたしだ。気合い入れていこう!!

 剣道をやってない人も、このビデオを見てください。日本人の誇りです。
https://www.facebook.com/photo.php?v=434671969960002