2010/11/23

ジジのエジプト旅行



 3冊目の翻訳の本が出来上がりました。
11月下旬には書店に並ぶ予定です。
よろしくお願いいたします。

 あらすじ

 予定のない夏休み。なのに、クラスのみんなに「エジプトに行きます」と嘘をついてしまったジジ。
それを信じたクラスメートからは、スター扱いをされるし、質問をされるし、おまけに先生からは「新学期にレポートを出してね」と言われてしまう。困っていたら、同じく「中国に行く」と嘘をついたライバルのモーからの、ものすごいアイディアが!
 ジジとモーのエジプト旅行が、いよいよパリからスタートする。どんなエジプト旅行が待っているのか!?

前2作に比べると、ユーモアたっぷり元気なお話です。楽しいエジプト旅行になりますように。

2010/11/21

おねがい

 親戚、友人、知人のみなさん

こんにちは。お久しぶりです。

パソコンの故障により、いろいろな情報や、メールアドレスが消えてしまいました。
みなさんのメールアドレスは、プリントアウトして記録に残っているものもありますが、最近アドレス変更のお知らせをくださった方や、最近になって連絡をくださった方のメールアドレスの一部が残っていません。メールをください。ついでにみなさんの近況もお知らせください。

わたしたちは夏に帰国する予定です。お会いできたらいいですね〜〜。

        みのり

2010/11/01

ケーキ屋さんでの職場実習

 調理師の資格をもらうための学校に通っている。10月4日から通っているので、もうすぐ丸一ヶ月続いたということになる。我ながらがんばっている。3週間目からは、栄養学や調理実習や経理などなどのほかに、フランス語と英語と数学と地理歴史まで加わった。調理実習だけやりたいのに、余計なものまでいっぱいやらなきゃならず、ちょっと学校が嫌になっていたところ、4週目と5週目は、職場研修になっているので救われた〜。

 クラス10人のうち、学校のあるアルビ市から通っているのはわずか2人、みんな30分以上掛けて登校している。カーモーからはわたしのほかにトルコ人のアナンが来ているので、わたしたちは仲良くいっしょに登校する。アナンは、22歳で前にも別な調理師の学校で別な免許をもらっている。職場研修もしたことがあるので、調理実習の時間はあっという間に仕事を終わらせ、わたしのことを手伝ってくれる。ほかに仲良しはエリックというわたしと同年代の男性で、彼はサッカーのほかに柔術をやっているので、話が合う。エリックは携帯電話のモトロラの会社で重役をやっていた人なのに、調理師に転職しようとしている。調理実習のために来ている調理の先生2人も、柔道と柔術をやっている人たちなので、わたしたち4人は『若くないもの同士』話が合う。ほかの人たちも若いながらも各地で苦労した人たちで、若いのにけっこうしっかりしている。みんなあっという間に研修先を見つけた。アナンはアルビの中心街にある小さなレストランで、エリックはピザ屋さんだそうだ。エリックが目標にしているのは老人ホームの食堂なので、次回の研修先は老人ホームをあたる予定らしい。ケーキ屋さんで実習するのはわたしだけだ。

 ずっと前ミーさんに、「製菓学校に通いたい。お菓子づくりに興味があるので、アルバイトでいいからミーさんのお店で働かせてください」と言ったら、「主婦の片手間にできることじゃないんだぞ。甘くみるな」と叱られた。わたしはとっても本気だったのだけれども、ミーさんは、わたしが主婦の片手まであれこれやってると思っているので困る。どちらかというと主婦業はほとんどやってない。いろんなことの片手間に主婦業をやっているといっても過言ではなかろう。主婦業にたどり着くまでにやることがいっぱいある。ただ働きで成果を認められにくい主婦業をちゃんとやっている主婦たちのことを、わたしはとても立派だと思うし、深く尊敬している。

 ところで、ほんとうに調理師の学校に入学してしまったので、ミーさんは最初はびっくりしていたが、やる気を買って喜んで遣ってくれるという。(どうせ、お給料はあげなくてもいいんだしねえ〜)
 けれども、学校の方はいちおう『製菓』ではなく『調理』なので、ケーキ屋さんでの研修と言ったら学校の方で嫌な顔をされた。生ものの仕込みや、保存の方法、もちろん調理をやらなきゃダメなのだ。でもどうしてもミーさんのラボで働きたかったので、5回の研修のうち1回目は「デザートを学ぶ」という建前で、ケーキ屋さんのほうで働かせてもらうことになり(じつはチョコレートのラボに行きたいんだよなあ〜)、そのほかの研修は、ミーさんのお友だちの高級レストランで研修させてもらうことになった。ミーさんが直接電話を掛けて、「今から行かせる。わたしの友達なので、親切にしてやってくれ」と言ってくれたので、お昼の忙しい時間に押し掛けたにもかかわらず、大変親切に受け入れてもらえた。クリスマス前後の三週間は、このレストランで働くことになっている。シェフはオランダ人。斬新なヌーベルキュイズイーヌという分野のレストランで、お金持ちとスノッブしか入らない高級なレストランだ。わたしは日本からのお客さんを接待するために、何度もこのレストランにミーさんのお供をさせていただいた。このようなクリエイティブなレストランで野菜の切り方などを習いたいと思っていたので、次回の研修をとても楽しみにしている。

 さて、ミーさんのケーキ屋さんの工房は、5時からスタートする。でも、「あんたは家庭があるんだから、好きな時間に出てきなさい」と言ってくれ、職場の人もわたしのことを『社長の個人的なお友だち』と思っているらしいので、なにも言わない。シェフのフィリップさんも、わたしには怒鳴らない。いいのかな〜と思う。フィリップさんに「5時に出てきましょうか」と言ったのに、「7時でいいですよ」と言われ、わたしは特別に7時から出勤している。フィリップさんはわたしと話す時には声のトーンが落ち、ていねいな言葉遣いで話す。いいのかな〜と思う。今朝などは、社長が自分よりも先に出てきていたので、いいのかな〜と思った。ミーさんがまさか7時前に仕事に出てくるとは思いもしなかったもので、油断をしてしまった。今日お店に出たサントノーレはミーさんの作品だ。すごいなあ。世界一のサントノーレだぞ。食べたかったなあ。

 5時からスタートした工房では、前日に仕込みの終わっている注文品を、9時頃までに仕上げて、4.5カ所のミーさんが経営している商店に配達される。だから結構な数になる。きょう働いていたのは7人だった。全部で10人で作っている。パンは別な工房から配達される。このごろにはクリスマスのケーキの元になるものをできるだけ作って冷凍できるものは冷凍室へ。。。という動きになっているので、なにやらとっても忙しそうだ。わたしが出勤する7時頃から納品の終わる9時頃までは戦場と化していて、フィリップさんが怒鳴りまくっているので、わたしはできるだけフィリップさんを避けて、見習いさんや仲良しのステファンなどに「何かできることない?」とささやきながら、あっち行ったりこっち行ったり、多くの場合洗い場で洗い物をしたりなどして逃げている。いいのかな〜、お菓子づくりを習わなくて?
 
 10時の納品が終わると一度しーんとなる。コーヒーの香りが漂い、冷蔵庫からいろんな物が出されて、みんなの朝食の時間となる。みんなだいたいケーキの失敗作や、パンにバターを塗ったサンドイッチなどを食べている。わたしは出勤前に朝食を取る時間があるし、しかも遅れて出勤しているので、いちおう遠慮して隅っこでコーヒーをちびちび飲む。たまにでき損ないだけど世界一の味のケーキをつまむ。たまに、製作中のケーキのクリームをなめさせてもらっている。幸せな職場だ。みんなすでに5時間ぐらい働いたあとなので、疲れて無口になっている。

 朝食が終わると、いよいよケーキやお菓子の作成に入る。翌日の注文品の仕込みであったり、クリスマス用のものであったり、作り置き品の冷凍準備であったり。。。一週間の間に、タルトやケーキの作成にも参加させてもらった。果物を切り刻んだりする作業もあったので、実習のノートにある『包丁を遣いました』などの項目にチェックすることができてよかった。クリームの絞り袋がうまく使えず、グッチャグチャになって、しかも何時間も掛かったので、シェフのフィリップさんがわたしの後ろでうろうろしているのを感じてはいたのだが、とりあえず急ぎの作業ではなかったらしいので怒鳴られなかった。たぶん、ほかの職人さんだったら3分の1の時間で無駄なくやったのだろうと思う。急ぎじゃない仕事を与えられているのだと思う。 
 
 週末はトゥッサンといって、フランス式のお盆みたいな週末だったので、ケーキ屋さんは忙しかったのだが、わたしはミーさんから「主婦は週末には子どもの面倒を見ろ」と言われていたので、土日はお休みをもらっていた。子どもたちはナルボンヌのJPの両親のところに行っており、子どもの世話の必要はなかったのに、しっかり休みをいただいた。そこでわたしとJPは、ベルジュラックという、うちから4時間近く掛かる場所で行われた剣道の講習会に出かけた。
 泊まりがけの2日間剣道三昧で、月曜日にはちゃんと5時半に起きてケーキ屋さんで働いた。手足にマメだらけ、筋肉痛もひどいのに、大掃除の日だったので、大掃除をして12時には終わった。いつもは午後2時とか3時までやる。

 子どもたちもJPもいない家に帰って、指圧の追試が近づいているので、解剖学の復習をした。ケーキ屋さんでの職場研修が終わったら、栄養学の学科試験と調理の実技試験が待っているので、今晩は栄養学もやる。調理の実技練習は家族が戻り次第始まる。家人はすでに何度も何度も、学校で習ったシチューやタルトを食べさせられている。繰り返して覚えないと上手にならないので。材料の分量や調理の時間、タイミングなどを丸暗記しなければならない。楽しくやってないけど、調理の手際は良くなるかもしれない。なにからなにまで大変興味深い一日が、あっという間に過ぎて行く。

 フランスは冬時間になり、日本との時差が8時間になった。ベルジュラックに行く道すがら紅葉を楽しんだ。すっかり秋が深まっている。あと8週間で今年も終わり。学校は来年の4月まで続く。