2005/11/01

カイロの電気回路

 「公募」のサイトを教えてくれた友人があったので、ちょっと覗いてみた。そこで「カイロ」についての思い出をお寄せください、なるものがあり、ビビッと心を惹かれてしまった。

カイロと言えば「電気回路」だろう。もちろん。
 小さい時に住んでいた家は、風が吹き抜けるようなボロ屋だった上に、便所は外にあり、子供はずいぶん寒い思いをした。母は、アルマイト製の湯たんぽを子供の数だけ持っていた。親はというと、電気毛布なる、すごいものを所有していた。電気屋だったのでそんなものはどこからでも調達できた。
 フランスでは電気毛布など見たことも聞いたことも無かったので、そんなものの存在などすっかり忘れていたが、去年の秋に日本に帰ったとき、父がまだ電気毛布を愛用していたので「ああ、これは。。。」と毛布にしがみつくほど感慨ものだった。

 子供の時のはなしに戻る。
寒い夜にはトイレに行くのも辛かった。それで母はせっせと湯たんぽをこしらえてくれた。明け方になると布団の外で冷たくなっているか、足元で生温くなっているかだった。

 わたしには輝かしい電気アンカの時代もあった。クマちゃんの形をしていて、腕の中にすっぽりおさまる、黄色っぽいアンカだった記憶がある。もしかしたらもっと他の色で、黄色っぽくなったのかも、しれない、忘れた。
 ただ、そのアンカ、愛用しすぎてぼろぼろになってしまった。布が破れたところから、プラスティックの「中皮」がはみ出て、足に不快だった覚えがある。

 先日にもちょっと書いたのだが、じつはわたしはおもらし女だった。だった。だった。
ボロボロのクマちゃんのアンカを入れた日に、おもらしをするとビビッと感電するようになってしまった。しばらくは感電効果でおねしょが止まるかも、と思っていた家人も、さすがにかわいいわたしがアンカで感電死ということになったら、電気屋の恥と悟ったものか、アンカはお払い箱となってしまった。
 それで時代に逆行して、湯たんぽ時代へと突入したのだ。安全でエコロ。電気代も掛からないし、感電もしない。文明の知恵。

 今どきは便利な「カイロ」があるので、安全で便利な時代になった。でも「カイロ」と聞くとやっぱり「電気回路」を連想してしまう。電気アンカのビビットなカイロ。
 日本みたいなホッカイロはフランスには無いので、日本からたまに送ってもらうが、勿体ないから使わずに、ついつい使用期限を過ぎてから慌てて使っている。日本茶も、味付け海苔も、いつも期限が過ぎてからしぶしぶ開けている。

 「カイロについての思い出をお寄せください」の公募に、そういうことを書いて送ってみた。どんどん書いていたら1700字になってしまって「エラー!500字以内にまとめて」の返事。友だちあての携帯メッセージみたい。「おまえのメールいつも切れてるぞ。字数はいい加減身体で覚えろ」って、そんな。ダラダラ書くのが好きなの。
 結局1700字を496字にまとめたら、言いたいことがなんだったのかわからなくなってしまった。

 優勝はカイロ大賞三名様。。。賞金五万円にカイロひと箱六十個ですって!?冬までに送ってもらえるのだろうか?(って優勝する気?)