2009/04/30

領事館から

 トゥールーズ郊外で爆発事故が起こった時に、当時トゥールーズから70キロ離れたところに住んでいたわたしにも、ちゃんと電話があった。安全確認のために一人一人に連絡をとっているというので、感動したものだ。それ以来、在フランス大使館領事館ではインターネットの連絡網も始まり、それから領事館からの定期的な連絡メールも配信されるようになった。

 週末の剣道の疲れか、はたまた二日間たびたび雨に濡れたせいか、更衣室のシャワーが冷たかったせいか。。。ひと冬越えた元気な身体に、風邪菌が襲いかかった。不意をつかれた。油断した。隙を見せた〜〜。
 時期が時期だけに、周囲に「豚インフルエンザじゃないでしょうね?」と警戒されている。
そして時期が時期だけに、領事館からもこんなお知らせが来た。

 今朝のニュースによると、メキシコでは《フェーズ5》になったとのこと。
会ったことはないが名前をよく聞いて知っているあるスイス人が、メキシコから大急ぎで帰国したと、そのスイス人の知り合いから聞いて「豚インフルエンザ持って来てないでしょうね?やだなあ」と笑ってうわさしたのが昨日だったが、今朝のラジオで「ついにスイスでも!!」と報じられていたので、ちょっと心配している。ただ事じゃない。。。

ーーマルセイユ在仏領事館よりお知らせーー2009年4月28日ーーー

                                 

在留邦人の皆様へ

           〜豚インフルエンザに関するお知らせ〜



1 豚インフルエンザにつきまして、WHOは同日夜に、6段階の新型インフルエンザ警 報フェーズについて、現在のフェーズ3(ヒト−ヒト感染は無いか、又は極めて限定さ れている)からフェーズ4(持続的なヒト−ヒト感染がある)に引き上げました。

 WHOは、このフェーズの引き上げは、インフルエンザのパンデミック(大流行)の可 能性が高まっていることを示すものの、パンデミックが不可避であることを示すもので はなく、今後の状況に応じてフェーズ3に引き下げることも、フェーズを更に引き上げ ることもあり得るとしています。

  (WHOホームページ http://www.who.int/en/ 参照)



2 このWHOによるフェーズ引き上げを踏まえ、外務省は、多数の患者・死者が出てい るメキシコについて感染症危険情報を発出しました。メキシコへの不要不急の渡航は延 期してください。なお、在メキシコ在留邦人に対しては、「不要不急の外出は控え、十 分な食料・飲料水の備蓄とともに、安全な場所にとどまり、感染防止対策を徹底してく ださい。」及び「今後、出国制限が行われる可能性又は現地で十分な医療が受けられな くなる可能性がありますので、メキシコからの退避が可能な方は、早めの退避を検討し てください。」との危険情報が発出されています。

(外務省海外安全ホームページ http://www.anzen.mofa.go.jp)

  なお、外務省では26日付で豚インフルエンザに関する電話相談窓口を開設していま す。

(電話81−3−3580−3311内線4625,4627,4629)



3 ヨーロッパにおいては、スペインで1名、イギリスで2名の事例が確認されました  が、フランスにおいては、現在のところ、豚インフルエンザに感染した事例は確認され ていません。

  フランスにおいては、熱や呼吸について一定の症状があり、かつ症状が出る一週間前 までに米国又はメキシコの一定地域に滞在していた方を「可能性が疑われる事例」とし てフランス保健省が公表しています。この情報によると、これまでフランス国内で10 名の豚インフルエンザ感染が疑われる症例があり、4月28日10時現在では、このう ち6名は疑いが晴れ、残り4名について調査が行われています。

  

4 なお、豚インフルエンザについては、ヒトからヒトへの感染が発生しているとすれ  ば、通常のインフルエンザと同様に、咳やくしゃみによる飛沫感染によるものと考えら れています。豚肉や豚肉の加工品を食べることによって経口感染するものではありませ ん。

  その他、豚インフルエンザに関する情報は、厚生労働省ホームページ

(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090426-02.html)

 にてご確認下さい。



5 また、現時点でフランス国内での感染は確認されていませんが、外務省においては、 上記メキシコ向け感染症危険情報において以下の感染防止策を示していますので、ご参 考までにお知らせします。

(1)十分な水・食料の備蓄を行い、不要不急の外出は控える。

(2)外出する際は人混みを避ける。また、咳やくしゃみ等による感染を防ぐため、マ   スクを着用する。

(3)積極的に手洗いやうがいを行う。

(4)ウイルスは粘膜を介して感染するので、うかつに目、鼻、口などの粘膜部分に手で  触れない。

(5)発熱や咳などインフルエンザと似た症状が見られた場合には、迷わず現地の医療機  関の診療を受ける。



6 当館においては、今後とも関連情報をHP、メール等を通じてお知らせしますので、 こまめにチェックするようお願い致します。こうした情報提供を円滑に行えるよう、在 留届の提出、メールアドレス・電話番号などその記載内容の追加又は変更の当館への届 け出を励行して頂きますようお願い致します。

2009/04/27

まめ も ちらほら



 毎年恒例、全日本剣道連盟派遣の先生による剣道の講習会が、トゥールーズで行われた。
これまでも毎年、七段、八段の先生にお越しいただいて、わたしはほかの2人の日本人剣道仲間と一緒に、通訳兼アシスタントをさせていただいた。トゥールーズのクラブの人たちは、会場の準備や、昇段審査の用意、食事・観光の手配など、ずいぶん前から準備を進めて来た。わたしも早めに家を出て、空港・ホテル・レストランの道のりなどを復習した。運転手もしなきゃならなかったので。それでも、当日はいつもハプニング続きだ。

 土曜日の朝は70人ほども集まった。30人ほどが昇段の審査を受け、半分ぐらいが合格した。
基本打ちのほかに、日本剣道形の指導も行われ、もちろん稽古もたっぷりあった。
わたしは土曜日も日曜日も、先生との稽古を待つ長い列に並んで、地稽古を一本お願いした。
これまでの先生方と違って、今年の先生は、七段ながらも実は38才という若さ。先生の動作の速さを見ていて、高校時代の同級生や先輩方を懐かしく思い出した。打たせて褒めるおじいちゃん先生とは違い、容赦しないでどんどん攻めてくる。偉そうにしてる奴は根性を叩きなおしたる。。。というような。。。そのような雰囲気があるなあと思った。でも、先生より若い人の方が多い講習会なので、気さくで笑いを集める冗談なども飛び出し、みんなとても喜んでいた。

 わたしは、脚さばきに問題があるらしい。よく転んだり、遠いところから面を打たれるのもそのせいなのだろう。もっと走らなければならない。そして身体も軽くしなければならない。反省、反省。
 とっても、面白い二日間だった。

 去年の同じ講習会でお会いした滋賀県の脇本先生には、去年の秋に再会し、同じく滋賀県で剣道をしている姉と二人で、先生の稽古に参加した。先生はわたしに新しい胴をプレゼントしてくださり、ほかのぼうぐと釣り合いが取れなくなったのを見兼ねて、姉は剣道衣と竹刀・小手・面を新調してくれた。日本の剣道形は身なりにも厳しいのだ。「初心者じゃあるまいし、そんなの身につけてたら強くなれないよ」と言われていたのだ。
 新しい先生の胴は、バシバシ打たれまくった。姉が特注してくれた小手はまだ硬く、竹刀も重く、ちょっとやりにくかった。でも、もっと身体を慣らして、防具が身体にぴったり合うように準備しておかなければならない。
 次回は滋賀県のほかに、三重県と吉野川源流の山奥でも、道場巡りを約束してしまったのであるのである!!
(そして開聞辺りでも同級生剣士が待ってくれているのである)

 ああ、また荷物が多くなるなあ〜。

増刷案内

休み中に、大阪の文研出版社からメッセージが届いていた。

「私は忘れない」がおかげさまで増刷となりました。
今年の夏休みの福島県と千葉県の推薦図書に選ばれたのです。

何とも嬉しいお知らせだった。たくさんの子供たちが厳しい感想を書いてくれることを祈る。いろんなことを感じて、考えて、いつまでも心に残る作品だと言ってもらえますように。三冊目の翻訳も、やる気を出して頑張っている。

2009/04/19

国境を越えて

4月4日から19日まで春休みだった。
 最初の一週間は子供たちだけで、あとの一週間はJPとわたしも合流して、ナルボンヌのJPの両親の家に滞在していた。いつも通りのお休み。3月と4月は翻訳の仕事で忙しくしていたので、待ちに待った復活祭のためのバカンスだった。でも、ナルボンヌでの休みはお天気が悪く、嵐のような日ばかりで、大したことは何もできなかった。雨の合間にご近所を散歩したり、テレビを見たり、ゲームをしたり。。。喰っちゃ寝状態だった。
『崖の上のポニョ』を観に行った。

 天気予報で二日連続いいお天気が報道されると、JPはいきなり「スペインに行くぞ」といった。びっくりした。
ナルボンヌからスペイン国境まで1時間半ぐらいで行けるというのだ。Figueres(フィゲレス)という町に、ダリの美術館があるというので、そこまで行ってみることにした。バルセロナはその先。カーナビなんかないし、地図さえ用意していなかったが、小さな町の美術館なので絶対にわかるという両親の保証付きで、わたしたちは出かけたのだった。

 ダリの美術館は、昔劇場だったという巨大ド派手な建物だ。この町で生まれたので、洗礼を受けた教会もすぐそばにある。いきなり目の前に現れた異様な美術館。世界中から来た人たちであふれかえっていたが、日本人らしい歩き方の人は女性が二人だけだった。(日本人は歩き方でわかる)

 帰りは高速道路を使わずに、地中海に沿って湾を迂回し、山を越え谷を越え、途中スペインのお菓子などを買い食いしながら、時間をかけて帰ってきた。

では写真。
          ナルボンヌの外れにある標識


国境(高速道路の料金所のようだが、ここでは料金は払わなかった。ただ道路の表示がスペイン語に変わったのみ。パスポートも見せず)


          スペインのパトカー


          昔の国境


          風車

2009/04/18

ダリの美術館(フィゲレス=スペイン)







ダリの美術館動画
http://www.youtube.com/watch?v=zq9MvKHVaY0
http://www.youtube.com/watch?v=_bv2JBG59w4&feature=related

2009/04/07

肩を叩かれて

 じつは、一ヶ月も前から、左腕が上がらないのだった。
放ったらかしにしていたら、毎年恒例、トゥールーズでの剣道講習会の案内が来た。日本から先生がいらっしゃるので、通訳をしてくださいとのこと。
 剣道の講習会では通訳はあまりいらないと思う。ただ、日本人の先生のアシスタントのできる人が必要なのだ。トゥールーズには美恵子さんという心強い仲間もいるので、二人で分担して講習会を乗り切ることにした。でも、この痛い腕ではアシスタントは無理。それに講習会を前に、稽古もしておかねばならないじゃないか。

 マスリ先生の所に行ったら、 手を上下にバタバタさせられ、「できるじゃないの。どーもない」と言われた。「上下バタバタはできるけど、ほらこの角度と、この方向は痛いんですよ」とやってみせる。服の脱ぎ着と、ハンドルを右に切ることができなかったのだ。
 マスリ先生は、つい一か月前にも、なんともないのに医者を訪ねたわたしを「ただの痛がりで医者好き」とでも思っているのかもしれない。筋肉に効く痛み止めと、それを飲んだら胃が痛くなると思われるので胃薬を、全部で6つも処方されて、一週間経って薬がきかなかったらまた来なさいと言われた。
 実は、痛み止めは大嫌い。胃薬はもっと嫌い。

 引出しにしまってあった、皇方医学をやってる剣道仲間の名刺を引っ張り出し、さっそく電話してその日のうちに訪ねた。JMGさんは、去年の夏に武道館という総合武道施設の発表会で、呼ばれて書道のデモンストレーションをやった時に、始めたばかりの診療所の名刺をわたしにくれたのだった。実はもう彼がどんな顔をしているのかさえすっかり忘れていたのだが、ずっと気にはなっていて、名刺が入っている場所も忘れていなかった。その名刺には、指圧や鍼そしてお灸などもすると書いてある。「日本式」とちゃんと書いてあるし、フランス皇方医学連盟の会員だというので、その連盟についてちょっと調べたら、なかなか信頼できそうなものだった。

 信頼できそうかどうかはどーでもいい。とにかく、指圧やってもらいた〜〜いっ、というのが本音だった。わらにもすがるとはこういうことか?

 最初、どこをどう揉まれても、痛くもかゆくもなく、JMGさんは痛みの原因を探るのに必死になっていた。1時間の格闘の後、左の肩に「結び目」が発見された。ここに、コリコリができているという。一日中パソコンに向かっているのだから、きっとそのせいだろう。。。というのがわたしの解釈。
 コリコリをつままれると、身体じゅうに電気が走る。でも気持ちいい。
最後の仕上げには、首の根っこをこぶしでどんどんと叩かれた。
「こんなことするとびっくりして叫ぶ人もいるんだけど。。。」と言いながら遠慮しながらやっていたJMGさんだったが、これが一番気持ち良かった。マッサージが終わってから、簡単にトレーナーを着ることができたし、車の運転もへっちゃらだった。とってもとっても軽やかだった。

 帰ってから、6歳のゾエに肩を叩かせた。
わたしも、こうして父の肩を叩いていたんだなあ、と思った。
父の肩を揉んだり叩いたり、背中の上を歩いたりさせられた。
6歳のゾエでは、力が足りず、痛くもかゆくもない。こんなに小さな手で叩かれて、父は「気持ちいい」と言っていたのか。
12歳のノエミに代わってもらったら、なかなか手ごたえが感じられた。でも、40キロを超えているらしいので、「背中の上を歩いて」とは言えなかった。やはりゾエの仕事だ。

 今日は、2回目の指圧に行ってきた。最後の仕上げはやっぱり肩たたきで、バシバシ叩かれるのが気持ち良かった。父が「四十肩」とか言ってたのが、これなんだろうか?
 うちの子供たちに肩たたきをさせてあげられないのがとっても残念だ。

明日はお釈迦様のお誕生日。父の命日。
一年はあっという間だ。花は咲いているだろうか。