2006/01/12

南向きの図書館の日だまり

 太陽が輝いている。日だまりを歩いていると身体が柔らかくなって、スキップしたくなる。パソコンの前にじっと座っている日々を反省して、仕事も外ですることにした。
メディアテック内の図書室へ。

 カルモーには「ビブリオテック」つまり図書館はない。今フランス中で人気の「メディアテック」と呼ばれるものだ。絵画美術の展示会や講演会ができ、大きな資料室もある。「ディスコテック」と呼ばれる部屋もあるが、これは踊る部屋という意味ではなくて「ディスク」つまりCDが保管されている場所。このメディアテック=文化センターは、文化的活動の情報交換のばであり、図書、文書資料、音楽CD、CD−ROMなどを借りることもできる。

 いつも水曜日と土曜日に子供といっしょに行く。子供は勝手に子供の図書室へ行き本を選ぶ。私は10分ぐらい大人の図書室をうろうろするが、すぐに二階の子供の図書室に向かう。

 今日は一人で子供の図書室に行った。もちろん学校の時間なので、子供は誰も来ておらず、司書の女性があくびをしながら「ダヴィンチ・コード」を読んでいた。この本の一巻後半で挫折した私は「面白いの?」と訊いてみたが、彼女も「彼の始めての作品に比べたら落ちるけど、図書館で訊ねられるから流行の本は読むようにしている」と言った。

 私は筆者別に並べられた本棚のAとBの棚に座り込んで、一冊ずつ本棚から引っ張りだした。
フランス語の本は縦に並べてあるので、書名は首を左に傾けて読まなければならない。ローマ字の書名は日本語のように縦には書かないのが普通だ。本棚は日本と同じで、本を縦に並べるのに、書名は横書きだから困る。

 子供の図書室の床はカーペット敷きだから、床にあぐらをかいて本を読んでいると、私は周囲のテーブルよりも低くなり、図書質に入って来る人からは私の姿が見えない。昼間の静かな図書館で働く人たちが、誰もいないはずの児童室に上がって来て、同僚の悪口を言ったり、家族の問題を訴え合ったり、奥の休憩室でタバコを吸ったり、コーヒーを湧かしたりした。普段は笑顔の窓口嬢の、第三者にとっては笑い話にもなりそうな悩み事が耳に入り、図書館では感じたことなどなかったタバコの煙やコーヒーの香りも感じた。面白い光景だった。

 よさそうな本を三冊見つけて戻って来た。さっそく読み始めてみたが、古い作品だったのと、日本の子供には難しそうなテーマだった(ユダヤ人の問題)ので、この三冊は返そうかと思う。
ちょっと残念だったが、一人で図書館に行くという、素敵な幸せを見つけた。

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