2006/07/26

(一句) 雨が降り、地固まらず、ぐっちゃぐちゃ 

 昨日のこと、
 ケーキを食べ終わって、誕生日当日の朝に買ったばかりのプレゼントを、ゾエにあげたところで、雷が鳴り始めた。
「ああ、今度こそ降ってくれたらいいねえ」
 フランス中の願い。

 雷が近所に落ちた気配。
風が吹き始めてから、もうボボはびくとも動かない。
ゾエがぎゃあぎゃあ泣く。ノエミがきゃあきゃあ飛び跳ねる。
JPが家じゅうを走り回って、戸締まりや雨漏りを確かめる。
わたしはドアの郵便受けにタオルを突っ込む。この前の時には雨が吹き込んだ。
台所の窓を叩く激しい粒。
直径1センチぐらいのあられが激しく降り始めて、道路は見る見るうちに、大河のようになった。
下水道の水が噴水みたいに穴から吹き上がる。
家の前に止めてある車の窓が、明けっ放しだった。道路の人通りは完全に絶える。

 中庭のわたしの小さな花壇が、プールになっている。
あられはどんどん打ち振り、花壇のプールにガラス玉のようなあられが浮いている。
電灯が心細げに、ちらちらしはじめる。ラジオの音が途切れる。
雷はまだ頭の上にいる。ゾエがおへそを隠す。ノエミも、わたしもおへそを隠す。

 隣の家の桜が大きく揺れている。
道路を走る四輪駆動車は、台所の窓に水しぶきを飛ばして走る。
ゾエが泣きながら、おそるおそる台所のカーテンを持ち上げる。光る。
1、2、3。。。ノエミが数える。そして、
「ちょっと遠のいたよー」と叫びながら、ボボを見に行く。
ボボの小屋が、ノアの方舟みたいに浮きそうだった。
「パパー、どうにかしてよおー」
父親は何でもできると信じている。
裏口の扉とボボの家の間に、大きな池ができていて、下水が逆流している。
「大丈夫、奥のほうに隠れているみたいだから。」
父親だって濡れたくない。彼が造った小屋は大人四人掛かりでも持てない重さだから、そう簡単には水に浮かない。

 空が明るくなって来て、道路に車が行き交い始める。
気がつくと、途切れていたラジオが何ごともなかったかのようにニュースの続きをやっていた。アナウンサーはイスラエルの爆弾の話をして、保険省の大臣が《猛暑の日のご注意》を読み上げていた。

1)水をたくさん飲むこと。
2)顔や腕を濡らすこと。
3)日中は窓も雨戸も閉め切って、家に光を入れず、夕方から夜に掛けて家の中の換気を行なうこと。
4)暑い時間に労働やスポーツなどを行なわず、陰に入って休むこと。炎天の海水浴場には日中行かないこと。

「そして一番大切なことは」と大臣は言う。

「これらの注意を、ご近所や身体の悪い人に伝えてあげてください。そのような人たちのことを気遣ってあげてください。お隣の人に声を掛けてください。」
 
 2003年の猛暑では1万5千人が亡くなった。今年はまだ8月にもなっていないのに、この一週間で40人ぐらい亡くなっている。
 雨が降ったら気温が下がるかと思っていたのに、そうでもなかった。
降ったはよいが激しいあられとは。せっかく生え揃って来ていた、わたしの花壇や芝生が全滅した。トマトも傷だらけになり、2個地面に落ちた。

 このまま水浸しになって、街も何もかも流されるかもしれない、と一瞬思ったその時に、家族がみんな揃っていてよかった。子どもたちが祖父母に連れられて、うちに戻って来ていた。
みんなでいっしょに居たから、ちっとも恐くなかった。
 花壇ぐらいはまた造ればよい。

それにしても、このお天気って一体。。。

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