2006/07/01

サッカー

 フランスのチームが、サッカーの世界大会でがんばっているらしいので、日本からたくさんメールがやって来る。みんな『フランス』ときいて、私のことを思い出してくれるとは、うれしいかぎり。ついでに、私がフランスにいるから、フランスを応援してくれているとは、ありがたや。

 テレビがなくても、状況はわかる。
いちおうラジオで「今晩はサッカーの試合」と盛んに言うから、「今晩サッカーがある」と言うことはわかる。今年の世界大会はドイツだから、時差もなくラッキー。でも日本ではきっとものすごい早起きだろう。

 サッカーのある日は、サッカーチームと同じブルーのシャツを着た人たちが、町を練り歩いている。そういう人たちが出くわすと、知り合いでもないのに抱き合ったりしている。
 試合が始まる数時間前から、町をクラクションを鳴らした車が走り回る。
たまに、車よりも大きな国旗をはためかせ、叫びながら猛スピードで走り抜ける人たちも居る。
 町が静かになるので「あ、サッカーが始まったな」と知れる。
しばらく、静かにごはんを食べたり、片付けたりできる。

 試合終了のころ、ご近所から一斉に喝采が上がるので「あ、勝ったんだ」とわかる。
 数分後に昼よりもうるさいクラクションやら、歓声やらが路上を行き交う。更に数分後には、ご近所の庭で花火まで上がっている。こーんなに乾燥してるのに大丈夫なんだろうか、といきなり不安になる。

 7月1日は猛暑の熱帯夜で、窓を開け放って寝たかったのに、、クラクションと歓声がうるさくて、窓を閉めずにはいられなかった。

 そして翌朝には、路上でサッカー準決勝進出を祝う若者が、エキサイトして商店街で暴れ回って、商店や路上の車に被害が出たことや、喧嘩で100人近く警察に保護されたことや、川に飛び込んで死人が出たことなんかが報道されることとなったのである。
 
 世界中には戦争やテロで死んでる若者や、飢えや自然災害で死んでるも子どもたちも居るって言うのに、フランスは平和だ。普段はみんな「フランスなんて国は。。。」とフランスには希望がないようなことばかり言っているのに、サッカーの試合の一日は、急にみんなが『愛国者』になる。いつもはいじめられてる移民たちも、みんなフランスのために喜んでいて、興味深い。そして、政治家はだれもかれもがサッカー好きになり、大統領までもがドイツまで応援に行っちゃうんだから、おもしろい。

 でもサッカー選手たちは、きっと自分たちのためにゲームを楽しんでいるんだろうなあ、と思って、ちょっとうらやましい。フランスという国を背負っているとは思っていないんじゃないだろうか。応援してくれている人たちに応えたいというよりも、自分たちにとっていい試合をしたい、精一杯やりたいということではないのだろうか。そんな選手たちが素敵だから、応援するんだろう。きっとずっと練習して来たのだから、自分のベストを尽くしたいと思うに決まっている。闘志というのだろうか。闘志のある人は瞳に星や炎が輝いていてきらびやかなものだ。
 普段は相撲ファンの母も、いまごろきっとフランスを応援しているに違いない。

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