2006/07/19

ミストラル、吹く

 海軍 地中海基地のある、トゥーロンという軍港の町に住んでいたことがある。町は港と切り立つ山に挟まれたところで、《ミストラル》という地中海沿岸特有の突風が吹きはじめると数日は治まらない。フランスでは風速は時速で報道されるが、時速100キロとか120キロという風が吹く。

 昨日、トゥーロンから《ミストラル》という船がベイルートに向かって出て行った。ベイルートにはフランス国籍を持った人や、その家族、約4000人以上が居住あるいは、長期・短期の滞在をしているらしい。フランス資本の企業が何百も進出している。この軍艦は一度に2000人を乗せることができるらしい。人々はキプロスなどに運ばれて、そこからフランス本国へ飛行機で連れ戻されるのだ。今朝たくさんの人がパリに着いたと報道された。軍艦は現地に残り、まだまだその辺で難民を救助する。

 フランスにはイスラエル人やレバノン人が沢山住んでいる。夏休みは子連れで里帰りする人も多く、里帰りの間に戦争に巻き込まれた人たちが、ラジオのニュースで状況を語っていた。フランスから里帰りしている人は、結婚や政治的な亡命、移住の事情でフランス大使館の管轄下にある人たちでも、お里の家族はイスラエルやレバノンから一歩も出たことのない人だったりする。血縁関係はないが《大好きな隣のおじさん》を置き去りにして船に乗ることになった男性が、悲痛な声でインタヴューに応えている。あの人はフランスに戻って来て生き延びても、きっと一生後悔し続けるのだろう。

 朝日コムの新聞を読もうと思って開いたら、日本の新聞では、ヒスボラの悲惨な映像が報道され、イスラエルの激しい攻撃を批判するようなことが書かれていて、ちょっとびっくりした。フランスの大統領はエスボッラ(ヒスボラ)がイスラエルの兵士を人質にした事実を「プロヴォカシヨン(挑戦行為か?)」と言って激しく批判している。総理大臣は救助船で自ら出掛けて行き「フランスはイスラエルのお友達です」と言って援助を行なっているので、わたしは悪いのはすべてエスボラという、ひとにぎりのテロリストのせいかと思っていた。

 国境近くの人たちが、「わたしたちは国境の向こうの人たちと、仲良くやっていたんですよ。同じ人間ですよ。ひとにぎりの人が勝手に戦争してるだけなんですよ」と言っていた。そしてイスラエル人の男性は「イスラエルは自分の力ではもうどうにもできないから(助けはいらないと言ってるが)アメリカ人やフランス人に助けてもらった方がいいと思う」などと言っている。
 まーた、アメリカ人がやって来るんじゃあないかねえ。。。。
シャリシャリ、デシャバリ、バリバリ。。。と建物や町を壊しながら。

 せっかくの夏休みが台無しで、気の毒、どころじゃあない。
わたしは毎日ラジオを聴いて泣いているのである。
 大戦争が始まるなら、8月に従兄と友達が来て、去って、ノエミがキャンプから戻って、からにしてもらいたい。こういうとき、わたしはちゃあんとフランスの船にも、日本の船にも乗せてもらえる(と思う)ので、日本のみなさん心配しないでください。

 フランスの大地は平和。トゥールドフランスの自転車レースで湧いている。
でも、猛暑のせいで今日までに3人亡くなってしまった。自転車やってる人って、大丈夫なんだろうか?
戦争なんかやらなくても、地球はかなり煮えたぎっている。ましてやこのくそ暑い時に自転車なんて、こんなこと言ってるから、体重が減らないんだろうーかね。

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