2006/06/11

ロバ祭り

   カーモーから約13キロほどに位置する、モネスティエという町で《ロバ祭り》が開かれた。

モネスティエは、カーモーからコルド・シュル・シエルという町に向かう途中にある、森の中の小さな町だ。コルドにチェロを習いに行く途中、毎週この町を通過するが、数週間前から「ロバ祭り」を知らせる垂幕が、町の一番目立つところに掛かっていた。

 《ロバ祭り》で子どもたちが楽しみにしていたのは、ロバの背中に乗ってのお散歩と、ロバに引かせる馬車ならぬ《ろ・ば車》でのドライブ(?)、そして、なによりこの祭りの目玉は《ギネスブックにもでている、世界で一番小さいロバ》に出逢えることだ。なーんでこんなところに《世界一小さいロバ》が居るんだろう。指宿の池田湖にいる《世界一大きいうなぎ》を思い出して、ププッと笑ってしまった。この双方に共通するのは「だから、何?」と言ってしまうほど、本来の役割を果たせない、ただ見て楽しい動物、ということだろうか?

 ボボサイズのロバには荷物は運べないし、背中にも乗れない。

直径30センチのウナギは、蒲焼きにしたってまずそう。

 でも小型犬ぐらいの小さなロバは、おとなしくて、とてもかわいかった。

 お祭りでは子どもたちにロバの絵を描いてもらう、絵画コンクールが行なわれていた。ノエミは馬を描くのが得意だから、青一色でささっと二枚の馬を描いて、長い耳を付け足していた。スタンドのおばさんを唸らせていた。

 ゾエはロバを引く自分まで描いた。ロバは鞍を背負っている。朝からずっと「ロバの背中に乗るんだ」と言い続けていたので、思わず鞍も描いてしまったらしい。

 ロバの背中に乗ろうとする子どもたちは、チケットを買って順番待ちしていた。イギリス人観光客がいっぱい並んでいた。小さな子どもが流暢な英語を話すのを聞いて、ノエミがえらく感心していた。15分以上待って、いよいよゾエとノエミの順番が来た。JPはゾエのロバの隣を歩いて、ノエミのほうの大きいロバには、農場のおじさんがついてくれていた。《農場のおじさん》と言っても、ロバを使って畑を耕す農家なんてないし、乗馬みたいにスポーツとして楽しむわけでもないだろう。ロバを飼うのはたいてい草刈りが嫌いな人だ。日がな一日その辺を歩き回って、草を食べているのが、フランスのロバの最近のお仕事だ。ヤギやヒツジも草刈り業を専門としている場合が多いが、ヤギやヒツジは草刈りのほかにもいろんな勤め先がある。《ロバ祭り》には生後三日の仔羊も来ていて、ゾエは哺乳瓶でミルクをあげた。この羊は毛糸を作るための毛むくじゃらのヒツジとなる。その他にヤギ・チーズも売られていた。

 子どもたちがロバの背中に治まったので、私は写真を撮ろうと思って、カメラを構えて参加したものの、ロバの足の速さに着いて行けず、ロバのお尻ばかり撮るハメになった。二度ぐらいはダッシュでロバを追い越して、前から撮ろうと思ったのだが、ロバがあっという間に追いつくので、なかなかいい写真が撮れなかった。見るに見かねて農場のおじさんがロバを駐車してくれたのだが、JPのほうはロバをコントロールできずに、ポーズをとっているおじさんの前を通過して行ってしまった。

 《ろ・ば車》に子どもを乗せると、JPと私はちょっと暇ができたので、カフェの木陰に座ってコーヒーを飲んだ。あんまりゆっくりしすぎて《ろ・ば車》が戻って来ていることに気づかず《迷子のお知らせ》で呼ばれてしまった。

 JPとノエミは自転車で来ていた。私とゾエは車にピクニック用品一式を積めて先回りした。お昼には食事のできるスタンドも出ていたが、私たちは《セルー川》のほとりでピクニックをした。

 絵画コンクールの発表があり、参加者全員が優秀賞を受賞された。商品は大きなボンボンの袋だった。子どもたちは大喜び。

 とてもよい一日だった。

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