2008/09/24

吊り橋計画



これは、錦江湾の指宿市海上に浮かぶ、1日に1度歩いて渡れる《知林ケ島/ちりんがしま》の裏にある《小島》




 13年前に、JPと彼の両親を連れて指宿に帰った。
その時には、指宿と鹿児島と大分と京都と大阪のホテルに泊まった。
日本にはじめて来た両親のために、いろんなところを観光した。
わたしはフランス人の隣に立っているだけで、「あの人、日本人なのかな?」と思われていたらしい。どこに行っても「外国の人かも?」と思われている様子で、わたしに向かって丁寧に説明してくれたり、優しく話をしてくれた。
 どこに行っても「日本の人は優しいなあ〜」としみじみ思った。それを一番強く感じたのは、生まれ古郷の指宿でだった。

 指宿の人間が、わざわざ指宿のホテルに泊まることは滅多にないのだろう。わたしは「よその人」と思われていた。みんながんばって「標準語」で話しかけてくる。「よそから来た人」のために、指宿のよいところをアピールし、行ったらいいよという所を教えてくれ、おいしいものを出し、せっせと世話を焼いてくれた。指宿の人たちは本当にこの土地を愛していて、大切に思ってくれているんだなあ、と思い、心が温かくなった。指宿に行ったことがないという人がいるといつも、行くようにアドバイスしている。こんな親切な人たちのもとには、また帰りたくなる。そこに、おいしいものも、いい温泉も、美しい自然も残っていてくれたら、きっとまた来たくなるに違いない。その四拍子が揃っているところは、どんどん少なくなっているのだから。

 そのあと9年帰れなかった。4年前に帰ることになった時、とっても怖かった。
そして心配した通り、いろんなものが変わっていた。
 住んでいた所も区画整理のためなくなっていたし、お隣さんも幼なじみもバラバラになっていた。
ノエミが入れてもらった小学校には、各学年にひとクラスずつしかなく、子供が14人しかいなかった。わたしが通っていた小学校も昔は6組あったのに、今では3組しかないらしい。学校開放で訪ねた高校も、学生が少なくてひっそりしていた。商店街やお店には高齢者が目立ち、ちまたで言われている少子高齢化がこんなにはっきりと確実に、地の果て指宿まで浸透しているとは、驚くばかりだった。

 友人からの知らせで、《指宿の池田湖に、吊り橋ができる》というニュースを知った。
歩いて渡る吊り橋で、観光名所にしようという計画らしい。

http://373news.com/modules/pickup/topic.php?topicid=2&storyid=12781

《総事業費は約25億円で、つり橋を含む1期分が約21億円。資金は個人投資家や投資会社からの調達を想定》とのことなのだが、「な〜んだ、お金持ってる人たちがやってくれるんなら、ラッキ〜」という問題じゃない。
 お年寄りがどんどん増えている町で、そして、その傾向は日本中で広がっているというのに、数年先、その橋を渡るのはいったい誰になるんだろう?近い将来、その橋が錆びて、池田湖の上を寂しく風に揺れている風景を想像する。想像できる。そんな場所、指宿にはいくらでもある。25億円ものお金をもっと未来のために使ったらいいのに。このような発想が生まれる現実が、とても空しく思えた。自然に触れ合ってもらいたければ、もっと自然に近づくべきなのに。いったいどうなっているんだろう。

 この数日間、このニュースのせいで悶々としていたら、揖宿神社の隣の土地で《てんちの杜》をやっている従兄から、こんなメールが届いた。
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 「てんちの杜」に、ステージと太陽光発電を建設中、9月末にどちらも完成の予定です。10月19日にこのステージで「かがり火コンサート」計画しています。太陽光発電は、子供達の環境の勉強になれば良いなーと思っています。
今、「なのはな館」の西側の池とアシ原を守ろうと、活動を始めました。(草刈りをする、看板を立てる、定期的に観察会をするなど)今日の夕方仲間の10人ぐらいで、とりあえず野鳥の観察に行きました。いろんな野鳥がいました。これから寒くなる冬が楽しみです。

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数ヶ月前に、「太陽光発電の装置を設置するお金がもう少し足りない」と言っていたのに、よくがんばって実現できたんだっ!かがり火コンサートは外してしまったが、この秋、野鳥観察には参加できるかもしれない。
 ちゃんと守ってくれる人も、すぐそこにいてくれる。みんな、がんばってね。
わたしも、ポジティブに行くよ〜。冬を楽しみにした経験はないので、今年の冬は《野鳥観察》を趣味にしようかな、と思った。

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