2007/02/23

代わりに授かるもの

 朝市に行く直前と、帰って来た直後に二人の親しい友人から電話が鳴った。

 まずは一週間前に女の子を出産して、自宅に戻って来たモーガン。ジュリエットは順調に体重を増やしているとのこと。
わたしは十日前から咳がひどいので、これが治ったら走って会いに行くつもり。

 もう一人はナディア。このごろ仲良くしているご近所さんで、子供たちも同い年なのでよく預け合いをしている。
お母さんが亡くなってしまったので、遺体を故郷であるモロッコに運ぶそう。馬鹿な私が「エトワ?サヴァ?(それであなたは大丈夫なの?」って言ってしまったら、泣き始めた。こちらももらい泣き。

 さて、お天気もいいので、先日から廊下に放りっぱなしのイチゴを植えなければならない。身体を動かさなければ「やってらんない」という気持ちだ。庭に穴を掘っていたら、ミミズがうじゃうじゃいて、倒れそうになった。でも、庭いっぱいに広がるイチゴ畑を連想して、「冷静に、冷静に」と呼吸を整えつつ、神経集中して植えた。
 身体を動かして気持ち良くなった。


 モーガンは、先月おばあさんを亡くした。3歳のとき戦地のベトナムから一緒に逃げて来たおばあさんだった。ちょうどその数週間前に、お腹の赤ちゃんが女の子だとわかったところだったので、おばあさんが亡くなったと知らせて来た時に、
 「ああ、それで、女の子だったんだ」
と言ったら、モーガンは「何のこと?」ということもなく、「みのりもそう思う?」と笑っていた。
 モーガンはわたしとまったく同じことを考えていたのだ。
そして「上の男の子を生んだばかりの時に、おじいさんを亡くした。その時に、去る前にこの子を授けてくれたんだと思ったのよ」と言った。
 
 わたしは、ノエミはJPの二人のおばあちゃんの代わりに授けられたんだと思っていたし、ゾエの時にはおじさんだった。父は大好きなソフィー(弟の奥さん)のお腹の中に、甥のコランを置いて逝ってくれたんだと、一人ずっと思っていた。ソフィーは、先月おじいさんを亡くしている。

 この十年か二十年の間、いつも誰かが逝く時に、身近なところで新しい命の訪れを知らされた。
モーガンが「妊娠した」と言った時に、わたしは「今度はだれが行くんだろうか」と《警戒》した。
モーガンとナディアにはつながりはないけれども、二人の間にいるわたしには、とてもつながりのあることのような気がしている。

 歴史というのは、こうして続いて行くんだなあ、と深い感動につつまれている。

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