2008/01/21

テレビ取材班到着



 2日間乗っていた小さな車をレンタカー屋さんに戻して、これからの2日間はメルセデス・ベンツ車のヴィトという、ミニ・バスを借りることになっていた。9人乗りのミニバスを運転する不安があると言ったら、運転手を雇ってもいいと言われ、普段からトラックの運転に慣れている、チョコレート屋さんのダヴィッドさんに助っ人を頼むことになった。
 レンタカー屋さんで合流して、そこからトゥールーズに向かった。深い霧と渋滞のため、空港に到着するのが少々遅れてしまった。

 ダヴィッドさんと話し合って、トゥールーズ市内で連れて行けるところをリストアップしてあったのだが、パリから来たカメラマンの一人が、トゥールーズのよい場所を知っていて、そこに連れて行ってくれと言われた。ダヴィッドさんはカーナビを用意していたのだが、最初の設定に手間取っている間に、わたしが《きーさん》に借りた紙の地図で、行きたい場所にたどり着いてしまった。
 トゥールーズのキャピトル周辺の商店街は、予想通り、月曜日の朝ということもあって、閉まっているところが多かったにもかかわらず、さすがは学生の町。若い人がいっぱい歩いていた。ただし、《ミーさん》のチョコレートについてインタヴューしようとしても、学生のような若い人たちが、簡単に買えるような値段のチョコレートではないので「そんなチョコレートは知らない」とか「知ってるけど買ったことがない」とか言われて、インタヴューはうまくいかなかった。
 ミニバスの高さが1メートル80センチを超えていたので、キャピトルの地下駐車場に入らず、駐車違反を承知で路上に停め、ダヴィッドさんが車の中で待機していた。

 お昼を過ぎて、みんなが食事している間、ダヴィッドさんはなんとか車を駐車できる所を見つけた。キャピトルからけっこう離れたところに車を持って行き、戻って来てから、ダヴィッドさんとわたしは、冷たくなってゴムのように硬いピザを食べた。駐車料金はダヴィッドさんが立て替えてくれた。

 午後は予定していた場所にはもう寄らず、まっすぐアルビに戻って来た。太陽が傾きはじめたので、急いでアルビに戻って、アルビの映像をできるだけたくさん、そしてきれいに撮影しなければならない。ダヴィッドさんが居てくれたおかげで、次から次に出る要望に応えられた。地図にも乗ってないところを走り、柵を乗り越えて映像を撮った。一方通行で、もう一体どこをどう走っているのか、わたしにはよくわからなくなるぐらい、走り回った。住んでいると歩いたことがないような場所にも行ったし、思っても居なかった角度から、アルビの町の姿を撮ることができた。

 夜は、ダヴィッドさんに頼んで、レストランを探してもらった。月曜日の夜に、開いているレストランを見つけるのは非常に難しく、ホテルの人にもアドバイスを頼んで、サント・セシル大聖堂のま裏の、石造りのレストランに、席を取ることができた。

 夕方ちょっと行われた会議で、若いディレクターの《きーさん》が、わたしよりは若いけど《きーさん》よりは経験のあるプロデューサーの《エンさん》にこっぴどく叱られ、それをどうカバーしてあげられるものかと頭を働かせてはみたものの、かばおうと思ってわたしが口を出せば、ますます《きーさん》が叱られた。お気の毒だった。《きーさん》はずいぶんへこんでいたので、無理やり彼をわたしの隣に座らせ、《エンさん》には遠くに座っていただいた。《きーさん》にはダヴィッドさんとたくさん話をさせようと思った。
 ダヴィッドさんは《ミーさん》の右腕チョコレートシェフで、この人が居なければ《ミーさん》のチョコレート屋さんは成り立たない。《ミーさん》のチョコレートを誰よりも理解していて、《ミーさん》のことを尊敬している。《きーさん》は作り方のこと、ほかとの違いのことなどを、聞き出すのに熱心になっていた。その様子に、明日の撮影本番への実感が湧いて来た。プロデューサーの《エンさん》も、もう何も言わなかった。《エンさん》はカメラマンの人が遠慮なく注文しまくるガヤックのワインを、うれしそうに飲んでいた。

 パリから合流したカメラマン2名、テレビ局のディレクターと、プロヂューサー、百貨店広報課の《なーさん》と、チョコレート職人のダヴィッドさんとわたし。みんなで記念写真を撮った。きれいな月が出ていて、気温は2度ぐらいだった。

 さあ、明日は本番。《ミーさん》のすご技を見ることができる。すみちゃんもアトリエで仕事をすることになっているので、すみちゃんの仕事ぶりも撮影してもらえたらいいなあ、と思う。
「でも、ピースしたらカットしますよ」と、《きーさん》に言われていたすみちゃんなのであった。


 上司に叱られなければ、働くオンナも悪くないなあ〜と思うのであった。
 

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