2008/01/20

働くオンナ


 
 日曜日は、《ミーさん》のチョコレートのアトリエはお休みの予定なので、当初の予定では10時集合となっていた。
けれども、ゆうべすみちゃんから仕入れた情報によると、《ミーさん》はパン屋さんの裏にあるケーキ・ラボに出て来るとのこと。日曜日の朝だったら、ケーキとパンは作られているのだ。それで、わたしたちは早朝7時頃にはケーキ作りを見学に行くことにした。
 7時に《ミーさん》の携帯に電話するが運転中とのこと、お店に到着してしまってから、いきなりの予定変更の報告となった。《ミーさん》はケーキ屋には居らず、日曜休業のチョコレート屋さんにある事務所で、書類整理をしていると言う。電話してもらうと、「きみたち日本人は一体こんな時間に何をやってるんだ?日曜日は仕事するんじゃないよっ」と怒鳴られてしまった。
「マダム・エンドー。家庭はどうしたんだね?」
「ミーさんだって、日曜日の朝に仕事してるじゃないですか?ちょっとパン屋さんとケーキ屋さんも見学したくなっちゃったんですよ」

 でも、実際にはパン屋さんとケ−キ屋さんは3時、4時には仕事が始まっており、8時には仕上げて、各販売所に運ばれる時間になってしまっていたのだ。
「ケーキを作るのが見たければ、4時に来れば良かったのだ。」
と言われてしまったけれども、2時に寝て4時には見学開始というのは、いくらわたしでもきついのだあ。

 本日はワイン農家と中世の古城と、コルドの丘を見学する予定だったのだが、ワイン農家との約束まで時間があるので、アルビ市内を散策することにした。《なーさん》は具合が悪くて昨日ずっと寝ていたので、まだアルビを見ていない。
 市場の地下に車を停めて、朝市に出掛けた。人通りはまだなく、しんとした朝市でパンを買って立ち食いした。ひとっこ一人いないサント・セシル大聖堂をひと周りし、霧が掛かって上まで見えない大聖堂の鐘つき堂を、下から見上げて写真を撮った。
 《なーさん》はまだ具合悪そう。医者を呼んであげた方がいいと思うのだが、本人かなり遠慮しているのだと思う。「良くなりました」とか言っているが、ズボンがゆるゆるになっているらしいし、大丈夫なんだろうか?美食の国に来て、痩せやつれて帰る日本人は、《なーさん》ぐらいだろう。

 カユザック=シュル=ヴェールのワイン農家に出掛けた。
ここのプラジョルさんは一家5代で72ヘクタールのぶどう畑を持つ、ワイン農家だ。《ミーさん》のお友だちで、曾おじいさんは、ジスカール・デスタン大統領の時に、おじいさんはミッテラン大統領の時に、ベアーナーさんはシラク大統領の時に、エリゼ宮にワインを卸していた。数年前に美智子皇后がヨーロッパ旅行された際、大好きなトゥールーズ・ロートレックの美術館があるアルビを訪れ、招待された場所で飲まれたプラジョルさんちの《ムスカデル》という白ワインをたいそう気に入り、それからはヨーロッパ各地にいらっしゃるたびに、電話を掛けてお取り寄せになるそうだ。数年前にも、領事館を通じてお電話があり「今、スイスに来て居るから、《ムスカデル》を6本、スイスの大使館に送ってください」と連絡があったそうだ。
 その《ムスカデル》という白ワインを、《きーさん》と病み上がりの《なーさん》とわたしはその場でいただいた。ほんのり優しい味わいで、普段飲めないわたしでも、すんなり飲むことができた。車の運転があるので残してしまったが、《きーさん》がわたしのグラスを残さず飲んでくれた。ゆうべ、ひとつ星のレストランでは、ワインが52ユーロだったが、その《ムスカデル》は1本9.20ユーロだった。《なーさん》と《きーさん》は自分の分を買っていた。わたしも買いたかったのだが、おとといからずっと高速代やら駐車場代、ガソリン代などの小銭を出していたので、日曜日の本日はお財布の中に数ユーロしか入っていなかった。またJPといっしょにプラジョルさんの農家までワインを買いに来ればいいことなので。。。。出直すとしよう。

 夜までアルビ周辺の観光をし、アルビの俯瞰ができる丘を見つけ、火曜日にカメラマンが来た時に連れて行ける場所を探し、一日中歩き回った。夜は自分たちで勝手にすると言われたので、わたしは夜早い時間に解放されることになったのだが、日曜日の夜に開いているレストランを見つけるのはきっと大変だろうなあ。。。と思って、とても心配だった。それに一日中いっしょに過ごして、夕食の時間に「自分たちのことは自分たちでやるので帰ってください」と言われると、なんだか邪魔にされたようで、少し寂しかった。ただ、《なーさん》などは小さな子どものお父さんなので、「お母さんが居ない家庭」のことを心配してくださっているのがよくわかった。「早く帰ってあげてください」との心遣いが、じつはとっても嬉しかった。

 そろそろ帰ろうかという時に、すみちゃんから電話があり、すみちゃんは今にも泣きだしそうな声で「ショックなことがあったので、今晩みのりさんとお話がしたい。仕事が終わったあと、どんなに遅くでもいいので連絡してください」とのこと。《きーさん》がすみちゃんの携帯パソコンを借りたいと言っていることだし、すみちゃんと合流することにした。

 わたしはすみちゃんを車に乗せ、カーモーに向かった。車の中ですみちゃんといっぱい話した。
   大変なことがおこった!!

 子どもたちはテーブルについていて、JPは、スープを用意しているところだった。前触れもなく母親が帰り、おまけに大好きなすみちゃんも来たとあっては、子どもたちは興奮せずにはいられない。ノエミが作ったキッシュをいただくことになった。
落ち込んでいたすみちゃんもわたしも、元気になった。
 この2日間、ぐずりっぱなしだったらしきゾエを自分のベッドに入れ、すみちゃんはゾエのベッドに寝てもらった。3時から働いているすみちゃんも、夜更かし続きのわたしもグロッキー状態。明日の朝また車の中でじっくり話すことにして、早めに床に入った。

2日目も無事終了。「働くオンナは大変だなあ〜」と思い始める。

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