2009/08/04

勉強会のテーマ

剣士、打たれちゃ困るカブト作成中


合宿に行こうと思ったのは、主催者の中にラブルさんの名前を見たからだ。
ラブルさんのことは、ずいぶん前から知っていた。
亡くなった佐藤先生が大好きだったフランス人のひとりだ。
20年ぐらい前に佐藤先生から何度も彼の名前を聞いていたので、どんな人かと思っていたら、結婚してフランスに来てから、田舎の道場でばったり会った。「なんでこんなところにいるの?」って感じだった。わたしはまだ剣道を再開しておらず、ラブルさんに個人レッスンを受けたのは、JPだけだった。

 そのときに、ラブルさんがフランスナショナルチームのキャプテンで、フランスのチャンピオンだということを知った。自分では言わない。人が教えてくれた。そんなチャンピオンが、田舎の友だちの道場に遊びに来て、JPに個人レッスンしたなんて。。。誰も信じないだろう。
 8年ぐらい前にパリで4段を受けたときに、会場でまた会った。でも、その時は合同練習がなかったので、またもやいっしょには稽古できなかった。
ずっとずっと、いつか彼といっしょに稽古したいと思っていたら、剣道合宿の主催者の中に名前があったので、もう、何も考えずに申し込みをした。
 合宿のあるブールジュっていうのは、電車で5時間、乗り換え5回の場所だった。
肩も脚も痛いのに、剣道具その他の大荷物を背負って5回も乗り換えなんてやってられないので、自動車で行くことに決めた。このところ故障続きだから、とっても不安。

申し込みをしたら、すぐにラブルさんからメールが来た。
「参加を決めてくれて、どうもありがとう。とっても楽しみにしています。ところで、日本文化について何かやって欲しいんだけど」という。70人近くの参加者の中で2段〜7段までの人の中から、希望する人は《指導者》として、いつも自分の道場でやってることをみんなに見せる。そして、それについてみんなで意見交換をする、というのが、この合宿のひとつのテーマとのこと。普通フランスで行なわれる剣道講習会は、7段以上の先生を日本から、あるいはフランス国内から招待して、先生方の指導で行なわれる。どちらかというとただただ受け身の講習会だ。質問はしていいが、反論したり、問題提起をしてはいけない。日本から来る先生方のほとんどは、フランス人が基本ができていないことを指摘され、毎回、どの講習会でも基本のやり直しをされる。なので、人によってはどれも同じ講習会のような気持ちになるのだ。いくらやっても基本ができていないんだからしょうがないのだけど。

 夏休みには全国数カ所で、一週間ぐらいの剣道合宿が行なわれている。その中でも、このブールジュの合宿は《勉強会》にしたいのだと、ラブルさんが言う。「ほかの人たちよりも経験があるから、自分には教えられることがあるかもしれないけど、みんなの思っていることも知りたいし、自分も学びたいから」やっぱりラブルさんだ。会いに行くことを決めてよかったなあ、と思った。大先生方の講習会は、また別の機会があるだろう。

 ラブルさんとの数回のメール交換で、日本人にしかできないことをやって欲しいということなので、私は3つのことを提案した。
 ひとつ目は書道とおりがみのお試し会。
武士は、武道のほかに諸芸道にもすぐれていなければならなかった。それで、書道の心得などが、武芸に通じるものがあるんだよと、まあ、そんなうんちくも述べられるんじゃあないかと思ったから。じつは、書道の時の姿勢や、呼吸、例えばやり直しの許されないひと筆一本勝負の精神が、本当に、剣道には大切で、わたしは、剣道のためにも書道を本気で習いたいと思っているのだ。書道は小学校で無理やり受けさせられた試験で、4級どまり〜
 筆が2本しかないので、手の空いてる人には、かぶとでも折らせようと思って、新聞紙も持って行った。ゾエの学校のお祭りで使った折り方のコピーもいっぱい残っていたので、おりがみといっしょに持って行った。
刀 に挑戦セバスチャン


ヤッシン。みんなに冷やかされて集中力なし。

      

 ふたつ目は袴について。
袴のお手入れ方法と、折り方。帯の出世だたみの実技。
袴のひだは前に五本ある。儒教を勉強していた日本人にとっては5というのはとっても大事な数字。
例えば世界を上手に動かすための大事な要素といったら、
火・水・木・金・土 
それから、社会生活でとっても重要な人と人との繋がりにも、5つある
長幼・父子(親子)・君臣・夫婦・朋友 
そして、五つの大切な徳といったら、
仁・義・礼・智・信
なんだそうだ。なので「袴を履くからには、そのようなことを身につけるんだぞ、それらを大切に心がけることを学ぶんですぞ」と、剣道の道場では教わるのだ。剣道やってるからには、はかまを大切にせにゃ〜あかんですよと。。。このようなうんちくが、フランス人は大好きだ。
 
 みっつ目は、数週間前から準備して、5ページにも及ぶ大演説にしたるつもりでいたのに、着いてから、このテーマは会議室での講義じゃなくて、体育館での実技だよと言われた。用意していたのは、
《日本人の伝統的な身体動作が影響を及ぼしている剣道の動作について。たとえばすり足・歩み足・蹲踞の理解は、日本文化を知ってこそなりうる》。。。というような、スゴイ講義内容だったのだ〜。
一番真剣に用意していたので、ちょっとがっかり。
 合宿2日目のお昼の稽古は、3つのグループに分けられた。そのどのグループも、足さばきについての実技。私は級者から初段までの約10人を受け持たされ、すり足と踏み込みについての指導となった。用意して行ったことは、とても役に立った。演台に立っての演説じゃない分、気持ちも楽だし、思ったとおりのことを状況に応じて伝えることができたし、やって見せる、そして実際にやってもらうことができたので、とってもよかった。

 とにかく、3つのどの時間も、みんなに大変喜ばれた。ほかの会議でも、たびたび「日本ではどうですか?日本人はどう考えるでしょうか?」と質問が投げかけられ、みんな真剣に聴いてくれた。

 もっとまじめに剣道勉強しよう。

来年はフランスの北のほうで行なわれるそうなので、行けるかどうかわからない。行けないだろう。でも、パリの各道場に知り合いができたので、パリの道場破り(?)を計画している。お楽しみ〜。

勉強会に来ていた若い子たちが、みんなやってるというので、Face Bookで、写真とビデオを交換することにした。ブログ右上の《ダニエウさんちのアルバム》をクリックしたら、登録なしでわたしの集めた写真が見れる筈なんですが。。。お試しください。
わたしの《わら束 真剣 試し切りビデオ》もあるよ〜。

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