2006/09/25

やる気は、あるんです。

 今年の始めに、訳したいなーと思う本があった。知人を通してその本が日本語に訳されているか、どこの出版社の取り扱いか、問い合わせてもらった。
 訳したいと思ったその本は、実はすでに契約済で、翻訳中とのことでがっかりしたのだが、問い合わせを行なった大阪の出版社の人から、
「あなたが前に訳された『サトウキビ畑のカニア』を読ませていただいております。良い本でした」と言っていただけた。それで、フランスで面白い本を見つけたら《レジュメ》を書いて紹介してください、との「社交辞令」を真に受けて、ひたすら素直に、いい本探しに努めたつもり。

 あらすじと、感想と作者の紹介など、まとめたものを《レジュメ》という。
《レジュメ》の中でも《あらすじ》は訳そうと思っている本の雰囲気がよくわかるよう《試訳》のつもりで、とのアドバイスをくれる友人もいて、彼が何度も読んでは意見を述べてくれた。結局5度以上も書き直した。どんなものでも書いたものを読み直すと、必ず書き直したくなる部分が出てくる。
 何度も書き直して、あまり代わり映えがしなくなったので、そろそろ提出しようか、ということになった。そして、本日、大阪の出版社に送らせていただいた。

 友人が間に入り、その出版社と関わりのある人を通して、《紹介》していただいた形ではある。とはいえ、メールだけのやり取りで、いきなりフランスに住んでいる、見ず知らずの者が送りつけたものに、「確かにお受け取りしました。検討させていただきます」と丁寧なお返事をくださる。日本に住んでいたら、出版社に何度も脚を運び、ちゃんとお会いして頭を下げ、世間話をしながら相手を探り、わたしは「検査」されるところではないか。
 こんなに簡単に(当人に取っては長い道のりだったのですが)企画を読んでもらった上に、いい返事が来たら、それはもう本当にすごいことだと思う。
 「この本はよい。子どもたちの読ませたい。そして売れるに違いない」と判断できるものであったか。。。企画を出してからまた悩む。もっともっといい本はたくさんある。読ませたい本もある。でも老舗の本屋さんが倒産する時代だ。

 時差と、ファイルが開けないなどの事情で「ちゃんと読めました。熱意を感じました。検討させてください」とのお返事いただけるまでにずいぶん時間が掛かってしまった。こんなことで信頼していただけるのだろうか。

 祈る気持ち。

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