2006/08/06

中世のお祭り

 日曜日でJPもいるので、《か》さんたちをちょっと遠くに案内しようと考えた。
カルモーから車で約45分、マザメという町の山の上、オットプールという小さい町に『木とおもちゃの博物館』がある。

 博物館の半分は森林の利用、保護の仕方、切り出された木がどのような手順で製品になるか、森の植物や動物の展示など、触れたり、音を聞いたりできる面白い博物館だ。たまに学校の遠足バスなども見かける。
 あとの半分は古いおもちゃ、現代のおもちゃのコレクションで、中心となっているのは木、紙、布で作ったおもちゃ。親子で楽しめる。

 この博物館の二つのコーナーを繋いでいるのは、巨大木製滑り台だ。
実は2003年に、この滑り台をやって、着地失敗して、左足首を骨折した、苦い経験を持つわたし。『か』さんが心配する中、《ゆ》ちゃんとゾエは滑り台を楽しんだ。
そのあと、一階に戻って来ると、おとなと子どもが一緒に楽しめる大型の木製遊具が並ぶ。
30種類ぐらいの木のおもちゃで、親子揃って楽しめる。ここに来ると子どもたちよりもお父さんたちが楽しんでいるシーンをよく見かける。

 午後、ちょっと山の上の町に行ってみようか?と話していたら、博物館の駐車場を、美しい衣装に身を包んだ、中世のお姫様のような人が、ドレスを風になびかせながら、幽霊のように草むらのほうに去って行った。

 山の上の町に続く道路を進んで行くと、路上駐車の車が増えてきた。
「何かやってるみたいだね」とJPがつぶやいた時に、『ここから先は進めません』という看板が見えた。山の上から音楽が聴こえている。《か》さんが「えー、あーんな所まで登るの?」と言って目を丸くしている。わたしはJPといっしょに出歩くと「あーんな所」まで歩かされるのには慣れているので、またか、やれやれと思った。

 ちょっと歩いて行くと、何かを待っているような人の塊にぶつかった。《中世の騎士》の服を来た人が、交通整理をしている。そこへ《中世の農民》が小型バスを運転して、山路を降りてきた。完全に超過状態で、小型バスに詰め込まれた《現代一般市民》のわたしたちが、地上はるか彼方の《中世の町》に到着した。そこでは《中世の乳母》と、《中世の踊り子》たちが、チケット販売と、チケット切りをやっていて、わたしたちは《中世の門》通貨券をもらった。
 すぐ後ろの人が「はい、あなたは無料です」と言われているのに敏感に反応したJPが「無料になるには、どんな資格があるんですか?」と訊ねた。「中世の衣装で仮装してたら、ただです」と言われているので、後ろを見たら、そこにはイモ袋を切って、腰にロープを巻いた《中世のみなしご》ふうの子どもが、《中世の金持ち》ふうの母親に連れられて立っていた。父親は、木で作った騎士の剣を腰に差している。

 さて、《中世の町》では、手かせ足かせをつけられた魔女が、首切り男に連れられて、町を練歩いたり、ロバの背中にまたがった農民や、鉄かぶとにじゃらじゃら鎖をつけ、鉄の剣を振り回しながら闊歩する戦士たちが、そこら中を歩き回っている。その辺で拳闘を始める戦士たちも居る。
 鉄の剣と鉄製の盾がぶつかる音や、物売りの声が響く。石畳の路上で革製品づくりの屋台や、鍛冶屋、パン屋が出店している。町の一番上まで来た時に、ロバ飼いにぶち当たり、ゾエがロバに乗ると言ってきかないので、乗せたはよかったのだが、ロバ隊は町の玄関口まで降りたあと、今度は入れ替わりでそこから別な人を乗せると言われた。わたしはまたゾエを連れて、町の上の方で待つJPたちの所へ戻らねばならなかった。ぜーぜー
 《ゆ》ちゃんは革製品工場で、手作りの革のバッグを作った。なかなかのできだった。
子どもたちはその他、木やヒモで作られた遊具で遊んだ。
 
 いよいよメインイベントである、パレード。
衣装を着て、町に集まった人たち全員が、中世の時代の楽器だけを使った楽隊の音楽に乗って、町を行進する。お姫様と王子様も黒い馬に乗って登場。かっこよかった。なんといっても中世のままに残っている町並みにとてもよく似合っていて、来年のお祭りには必ず中世の衣装で来るゾーと思った。(でも中世のこの町にアジア人なんて居なかっただろうから、ちょっとへんかな?)

 帰りは地上に向かうバスを待つ人々で溢れていたので、先ほど《中世の姫君》が歩いていた山路を、自力で降りることにした。と、いうか、か弱い女性たちの意見を待たずに、マッチョなJPが勝手にそう決めて、路をどんどん降り始めた。その山道はけっこう危なく、こんなつもりではなかったためにサンダルで来ていた《か》さんが、おそるおそる時間を掛けて降りて来る。申し分けなかった。

 でも、けっこう楽しかった?いちおうめでたしで、明日へと続く。

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