2009/02/28

ミーさんのお仕事




 ミーさんのチョコレートはアルビで作られ、名古屋に送られる。ちなみに、日本で「フランス・ショコラティエ」と呼ばれ、高いチョコレートを売っているお店の多くは、チョコレートやケーキを日本で作らせている。

 ミーさんはチョコレートを日本に送る際、一部をアルビの工房に保管する。それから更にその一部を、工房外の、食品を保存するには悪条件と思われる場所に放置する。そうして、賞味期限の切れたずっと後まで、そのチョコレートたちがどのように変化していくか、その行方を観察する。

 空輸されるチョコレートたちは、運搬中の乗り物の中で、揺れや気圧の変化、温度の変化にさらされる。名古屋とアルビでは湿度が全く異なる。そのために、ミーさんは、自分の作ったチョコレートを悪条件の中に置き、その変化を観察する。ミーさんのチョコレートは砂糖をほとんど使わず、それはつまり、チョコレートを長持ちさせる、ひとつの保存料が少ないということだし、また、人工の保存料は一切入っていない。使われている原材料はできる限り自然に近いものを使い、工場での大量生産で作った板チョコのように、何年も保存食としてカバンの中に入れておくことはできない。チョコレートは冷蔵庫で保存してはいけない。だから、できるだけ早くに食べたほうがよい生鮮食料品と同じだ。

 ミーさんと初めて日本に行ったときに、彼は数週間前に空輸したチョコレートを食べさせてくれと頼んだ。展示用に事務所に置かれていたちょっと埃っぽいチョコレートを、かまわない、といって、丁寧に二つに切った。
中のガナッシュは指定の賞味期限を大きく過ぎていたにもかかわらず、痛んでいなかった。作る時に、できるだけ気泡を作らない、つまり、カビの発生原因となる空気を含ませていなかったということ。切れ味も美しいが、肝心のお味は、作った時とほとんど同じ状態を保っていた。(もちろん工房を出るその時に食べるチョコレートが最高)

 テレビの取材が来てくれたおかげで、私まで制作の様子を見る機会が何度もあった。テレビが来ない時でも、チョコレート工房に寄り道して、チョコレートをもらって帰ることもある。工房はいつ行っても清潔で、働く人たちの動きに無駄がなく、原材料は吟味され、最高のものが使われている。だから私は、このチョコレートの値段にも納得しているし、味を見込んでファンであり続けたダニエル一家の選択に、大変満足している。子どもたちには、もう変なチョコレートは与えられない。

 東海テレビの「スタイルプラス」という番組で、2月8日にミーさんの話題が20分報道された。スタッフからDVDをいただいて、大阪駅構内のレストランでそれを拝見した。撮影隊が来た時に年に一度の大雪で、暗い空しか撮影できずに残念がっていたら、最後の日におひさまが出て、輝くアルビの町を撮影することができた。朝早くに起きての密着取材や、時間をかけて撮影したチョコレートの映像を、すべて見るには20分は短すぎたが、とっても良くできた番組だった。

「ミーさんはすごい、ミーさんのチョコレートはおいしい」と、ひたすら宣伝するような番組ではなく、チョコレートにかける思いや、自然と愛情の中で生まれるひらめき、チョコレート作りの真剣な様子が、たっぷり表現できていたのではないかと思う。テレビ撮影隊の若い人たちの、素晴らしいチームワークがにじみ出ていた。

 あの番組を、だれかYOUTUBEか何かに登録してくれたらいいなあ、と思って、楽しみにしている。今回は吹き替えではなかったので、ミーさんの生の声も聴ける。バッグで私の声もちょっとだけ聞こえる。

 名古屋では、「テレビを見て感動したから、買いに来ました」という人がたいへん多かった。本当に、とても良い番組だった。
それにしても、名古屋の人っておもしろい。この話しは次回。。。




  
 

1 commentaire:

marc a dit…

こんにちは
いつも楽しく拝見しています。
私は普段地上波のテレビをまったく見ないので、スタイルプラスのことも、ミーさんのショコラのことも全然知りませんでした。ごめんなさい。
今回、ダニエルさんちのフランス便りで少しわかってきました。
でも、フランスから発信される名古屋の話題を読んでいる自分がおかしくなってきました(笑)
またお便りさせていただきます。
いつも楽しいお話を本当にありがとうございます ;)