2006/04/15

冗談ぬきで上段に構える

 火曜日からトゥールーズに滞在されていた佐藤先生は、金曜日の飲み会のあと、次の講習会場所であるモンペリエに向かわれた。
 金曜日には、佐藤先生のほかに、この週末の別な講習会の指導者であるラヴィーニュ先生と、トゥールーズの別な会場で行なわれる居合道の講習のためにいらした、三人の範士の先生方、パリからの高段者の方など、それらの講習のためにわざわざ全国から集まった勇士たちが一同に介して、親善地稽古のあと、持ち寄り大宴会が行われた。道場にござを敷いて。

 トゥールーズのクラブの若者たち6人が、去年の秋に日本に武者修行に出掛けた。京都に行くというので、だったら滋賀県の彦根にも行きなさいよといって、姉の所に行かせた。私だってまだやったことがないのに、姉と姪と稽古をして帰って来た。旅行から帰って初めて会ったので、写真をたくさん見せてもらった。

 木曜日と金曜日は夜遅く帰ってきた。でも帰って来たおかげで家のことだって、子どもたちのことだってできた。興奮しているから、ぜんぜん疲れていなかった。金曜日の朝は朝市にも行った。

 土曜日は日本に長く住んでいらっしゃる、フランス人のラヴィーニュさんという方による、上段の講習会だった。普通剣道は中段に構える。向かい合った竹刀の先(剣先)を相手と交えて、距離と気持ちを測る。
 
 「上段をやりたい」と彦四郎先生に言ったら「冗談言ってる間に中段もっとやんなさいよ」と本気で叱られたものだ。日本人の先生は上段があまり好きではない。中段を極めていない者が上段なんかやっちゃいけないのだ。でも、実はいつかこの技をコッソリ極めて、スポットライトの当る試合場でほほーと唸る声をきいてみたいものだと思っている。
上段は冗談抜きでかっこいい。

 中段の構えの時、右足が前で左足が後ろになる。でも、いろいろ形のある上段の構えのうち、今回の講習会で稽古をした「左上段」というのは中段の構えから左足を一歩踏み込んで、左の拳が左の眉毛辺りに来る。左足が前にあって、相手に打ち込む時には左足を前に出す。打つ瞬間、片手打ちとなる。左手だけでしないを握って相手を打つ。

 普段は左足が右足より前に出てはいけないと、そればっかりうるさくやっているので、左足が右足よりも早く前に出るというような動作は、とっても難しい。左足で踏み込むなんてとんでもない。調子が狂う。(歩み足とか、まあいろいろあるんですが、面倒くさいので説明を省きます)それに肩よりも高く振りかぶっている竹刀というのは、とっても重い。

 ラビーニュさんは普段日本の道場で稽古している方だから、素振りも切り返しもたくさんさせられた。腕立て伏せと腹筋までやらされた。フランスでは準備体操もろくにやらないので、いっやあーきつかった。この歳になって高校生みたいな運動をしているなんて、私も逞しいおばさんになってしまった。腹筋を続けたら脂肪が減るだろうか?と期待して、講習会以来毎日やっている。
 でも腕は三日連続の剣道三昧で、もりもりになってしまった。
半袖の季節が来てしまう。恐い。

 アルビの道場に帰って、ドレイ先生に「上段をたくさん習いました」と言ったら、「冗談じゃない。私は上段なんか嫌い。ハイいつも通り面打って!」と言われた。お年寄りだから、やっぱりねえ。そしてほかの剣道仲間にも「上段なんか難しくってやれないよ」などと、みんなに合わせて上段の悪口を言っている。

 が、しかし、じつは、密かに上段を練習し続けている。
上段はかっこ良すぎる。(上手にできたらね)
ふっふっふ。。。

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