2009/04/07

肩を叩かれて

 じつは、一ヶ月も前から、左腕が上がらないのだった。
放ったらかしにしていたら、毎年恒例、トゥールーズでの剣道講習会の案内が来た。日本から先生がいらっしゃるので、通訳をしてくださいとのこと。
 剣道の講習会では通訳はあまりいらないと思う。ただ、日本人の先生のアシスタントのできる人が必要なのだ。トゥールーズには美恵子さんという心強い仲間もいるので、二人で分担して講習会を乗り切ることにした。でも、この痛い腕ではアシスタントは無理。それに講習会を前に、稽古もしておかねばならないじゃないか。

 マスリ先生の所に行ったら、 手を上下にバタバタさせられ、「できるじゃないの。どーもない」と言われた。「上下バタバタはできるけど、ほらこの角度と、この方向は痛いんですよ」とやってみせる。服の脱ぎ着と、ハンドルを右に切ることができなかったのだ。
 マスリ先生は、つい一か月前にも、なんともないのに医者を訪ねたわたしを「ただの痛がりで医者好き」とでも思っているのかもしれない。筋肉に効く痛み止めと、それを飲んだら胃が痛くなると思われるので胃薬を、全部で6つも処方されて、一週間経って薬がきかなかったらまた来なさいと言われた。
 実は、痛み止めは大嫌い。胃薬はもっと嫌い。

 引出しにしまってあった、皇方医学をやってる剣道仲間の名刺を引っ張り出し、さっそく電話してその日のうちに訪ねた。JMGさんは、去年の夏に武道館という総合武道施設の発表会で、呼ばれて書道のデモンストレーションをやった時に、始めたばかりの診療所の名刺をわたしにくれたのだった。実はもう彼がどんな顔をしているのかさえすっかり忘れていたのだが、ずっと気にはなっていて、名刺が入っている場所も忘れていなかった。その名刺には、指圧や鍼そしてお灸などもすると書いてある。「日本式」とちゃんと書いてあるし、フランス皇方医学連盟の会員だというので、その連盟についてちょっと調べたら、なかなか信頼できそうなものだった。

 信頼できそうかどうかはどーでもいい。とにかく、指圧やってもらいた〜〜いっ、というのが本音だった。わらにもすがるとはこういうことか?

 最初、どこをどう揉まれても、痛くもかゆくもなく、JMGさんは痛みの原因を探るのに必死になっていた。1時間の格闘の後、左の肩に「結び目」が発見された。ここに、コリコリができているという。一日中パソコンに向かっているのだから、きっとそのせいだろう。。。というのがわたしの解釈。
 コリコリをつままれると、身体じゅうに電気が走る。でも気持ちいい。
最後の仕上げには、首の根っこをこぶしでどんどんと叩かれた。
「こんなことするとびっくりして叫ぶ人もいるんだけど。。。」と言いながら遠慮しながらやっていたJMGさんだったが、これが一番気持ち良かった。マッサージが終わってから、簡単にトレーナーを着ることができたし、車の運転もへっちゃらだった。とってもとっても軽やかだった。

 帰ってから、6歳のゾエに肩を叩かせた。
わたしも、こうして父の肩を叩いていたんだなあ、と思った。
父の肩を揉んだり叩いたり、背中の上を歩いたりさせられた。
6歳のゾエでは、力が足りず、痛くもかゆくもない。こんなに小さな手で叩かれて、父は「気持ちいい」と言っていたのか。
12歳のノエミに代わってもらったら、なかなか手ごたえが感じられた。でも、40キロを超えているらしいので、「背中の上を歩いて」とは言えなかった。やはりゾエの仕事だ。

 今日は、2回目の指圧に行ってきた。最後の仕上げはやっぱり肩たたきで、バシバシ叩かれるのが気持ち良かった。父が「四十肩」とか言ってたのが、これなんだろうか?
 うちの子供たちに肩たたきをさせてあげられないのがとっても残念だ。

明日はお釈迦様のお誕生日。父の命日。
一年はあっという間だ。花は咲いているだろうか。