2006/02/09

剣道談義

 トゥールーズの剣道クラブ『ムサシ』からメールが届いた。4月に『上段』をテーマに講習会が開かれるとのこと。

 フランス剣道連盟には、日本剣道連盟から毎年七段以上の先生が派遣されてくる。半年以上フランスに滞在して、全国各地の剣道クラブで講習を開き、またパリではナショナルチームを集めての特訓もある。フランスからは毎年たくさんの選手が日本の大学や、一般の道場で稽古を積んで戻って来るし、京都では毎年夏に外国人を集めての盛大な研修と、高段者も受けられる昇段試験が行われる。

 4月にトゥールーズで『上段』の講習をするのは、日本剣道連盟からの派遣ではなく、クラブの招待でいらっしゃるのだと思う。日本に住んでいるフランス人のラヴィーニュ先生という方だ。日本語もペラペラだ。剣道着で道場に立っていると日本人かと思うぐらい、剣道着がとってもよく似合う先生だ。今ここで『先生』というが、別に剣道で生計を立てているのではなくて、ほかにお仕事を持っていらっしゃる。『七段教士』ときくと、「え?そんなに若いのに?」と思うぐらいまだ若い。

 実は日本で剣道をやっていた時に、上段で試合に臨んだ人間を見たことがない。高校生では上段も突きもやらない人が多かったから、試合会場でもそういう人を見たことがなかったのだと思う。
だいたい日本で、この若さで(38歳)上段なんかやったら「冗談はやめてしっかり中段に構える練習を積みなさいよ」と叱られる。

 日本では剣道対なぎなたの試合も、鎖がまと真剣の試合も、新影流の演武も、上段同士の試合も、「狐のかまえ」なるものも、二刀流の試合も見たことがなかった。全部、フランスに来て初めて見た。(特別な剣道のフェスティバルでのこと。普段はこんなのやらない)

 こんどその「上段」の講習に行って、フランス人の先生から「上段」を真っ向から倒す技、というのを習ってくるつもりだ。そのためには、ちゃんと普段から道場に通って、稽古しなけりゃあなあ。。。と思っているが、もうずっと行っていない。

  、、、と思っていたら、アルビのクラブから「冬休みも道場は開いてます」という知らせが来た。いつも指導している道霊先生は留守なので、稽古がいっぱいできて、汗までかいてしまうかもしれない。先生はとってもよくしゃべるので、聞いてるほうは寒い

 そういえば、剣道に行って汗をかかないどころか、暖房のある道場でブルブル震えた。。。という経験は日本ではなかった。フランス人の先生は、解説を求める生徒のせいでとにかくよくしゃべる。説明がこと細かい。
 日本ではお稽古ごとは何でも「「しゃべってる間に汗を流せ」であった。理屈も理由もわからず、ただひたすらに汗をかかされた。そうして、フランス人に「どうして」と言われてもわからない有段者になってしまった。ちょっと情けない。
 フランス人といっしょにいちから習い直している。

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