2009/09/21

新学期だったので

 なにかと、忙しかった。
 新学期前の最後の週に、シゴトの関係で、日本から数人の方々がいらしていたので、バタバタした。
食べてはしゃべりの楽しいおシゴトが始まるぞと、ルンルンな気持ちでスタンバイしていたというのに、胃腸の調子が悪くて、みんながデザート食べてる時に、わたしは無口になって座っているだけだった。ミーさんから、
「おまえさん、どっかおかしくないか?」と言われたぐらい、おかしかったのである。
チョコレートもケーキも食べ放題だったのに、レストランご招待だったのに、具合悪かったなんて〜〜。

    くやし〜〜。

 日本の方に、日本の胃腸薬をいただき、お腹が痛いのは治まったけど、トイレに行くと「しゃ〜」なので、「いつ来るか?」と思うと、不安で不安で。。。とにかく緊張しきっていたみたいだ。緊張の面持ちをどうやら隠しきれなかったわたしは、ついに、日本の《精神安定剤》までいただいた。「お腹痛いのに精神安定剤なんて。。。」と信じられない気持ちで、でも、くれる人に申し訳ないから呑んで見せたろうと思って、ちょいと服用してみたら、これが、なかなか効いたのである。

 「みのりさん、お仕事のことで、緊張していたのでは?」
と言われ、
「シゴトごときで、緊張ですと?このわたくしがっ!?」
と反論しようにも、精神安定剤がかなり効いたところを見ると、見かけによらず緊張していたらしいのである。

    わたくしとしたことが〜〜。

 おシゴトが終わり、日本人のみな様が無事にお帰りになり(じつは、誰も無事には帰り着いてなかったんだけど)、這うようにして帰宅すると、JPが台所で食器を洗っていた。
「お腹がやっぱり変だ。もう三日前からおかしい」と言いながら、薬草茶でも入れようかとうろうろしていたら、JPがにんまり微笑む。
そして、台所の棚に首を突っ込んでいたかと思ったら、ジャック・ダニエル専用の小さなグラスを引っ張りだして来て、パスティスを飲めというのである。わたしが「げ?」と言ってる間に、パスティスをスリーフィンガーぐらいもって来て、ふたたびにんまり微笑む。テーブルの向こうから、ジャック・ダニエルのグラスが、シュ〜と滑ってこっちに来た。まるでアメリカンなバーのようだ。

 JPは、海軍にいる時、ジャックというあだ名だった。JPの名字がダニエルだから。。。軍人というのは想像力があんまり豊かじゃない。と、いいつつ、《ジャック・ダニエル》と書かれた同名のお酒の宣伝用グラスを衝動買いしてしまったのは、なにを隠そうこのわたし。ジャック・ダニエルって書いてあるというだけで、アホな買い物をしてしまった。そんなアホな買い物は断固として許せないJPなので、ジャック・ダニエルのグラスはずっと使われずに無視されていたのだが、アルコールに弱いわたしに、楽しく一気のみをさせようと思ったのか、そのグラスをわざわざ選び、お酒をついで来たと思われる。わたしが笑うとでも思ったのかね。元軍人というのは、ユーモアセンスがこの程度なのねえ。でも、元軍人というのは、いろいろと、生き残る方法を知っているのであるのである。
 
 セネガルにいた時に、わたしが「どーしてもアイスクリームが食べたい」とわがままをいい、JPは「セネガルでアイスクリームなど食べるもんじゃない」といやがった。わたしが「どーしても、と言ったら、どーしてもなんだ」と言って、勝手にアイスクリームを買って食べた。そうして、JPの予想した通りに、その日のうちにひどい下痢を起こした。わたしにとって前世紀最大の下痢だった。その時にも、パスティスの一気のみで、下痢は一気に治まった。この原始的な医療方法は、とっても有効なのだ。

 と、いう訳で、夏休みの最後の週の三日間、今世紀最大の下痢を経験したわたしだったが、おかげさまで、元気はつらつな新学期を迎えた。

 小学校と中学校のPTA役員に復帰し、剣道クラブに登録し、子ども達のヴァイオリン教室と、乗馬クラブにもお金を納めた。
 
 JPは労働組合の会議が毎週あって、毎週パリに出て行っている。

 わたしは整骨の専門の医者に今も通っていて、アキレス腱と古い骨折の治療を続けている。
「アキレス腱が痛いのは、虫歯のせいだろう。頭が痛いのは、老眼鏡のせいだろう」と言われたので、歯科と眼科の予約を取った。歯科は1月、眼科は11月まで待つ。こんなことだろうと思ったので、ついでに婦人科も予約をとった。今はどこも悪いところはないが、悪くなってから予約すると、3ヶ月も待たされて、待ってる間に死ぬかもしれないと思ったので、一応婦人科にも電話した。予約は3月にやっととれた。やはり待たされるのだ。さあ、病気になるなら3月に!
なりたい時に、思うような病気になれないのは不便だ。
絶対になりたくないのに、なんらかの病気になる人の運命は、とっても不安だ。


 JPは元気。検査に検査を重ね、痛い思いも嫌な思いもしたが、けっきょく病気の原因はつかめず、なにも出てこなかったので、「病気じゃないんじゃないの?」ってことで、治療も入院も、病名もない。
 このごろは、「アンタ、いきなり倒れるから困る」とか、「人の運命なんて、明日なにがあるかわかんないんだから、もっと笑いなさいよ」とか、さんざん妻に怒鳴られている。そのわたしは、JPの友達に「ストレスから石が溜まる人もいる」と言われ、病原菌はこのわたし?と、考える今日この頃。
JPがストレスためるはずが。。。ない。。。はず?


 中学の日本語クラブはまだ再開していないが、自宅での日本語プライベートレッスンは再開した。

 翻訳の第一稿を納めなければならないので、じつはかなり焦っている。ギャグがギャグらしくならないので、ちっとも面白くならない。

 日本人の友達から預かっていた猫《ベベ》は、飼い主さんが約束通り日本から迎えに来てくれ、無事日本に連れて行った。あっけないお別れだったが、子ども達は一週間でベベのことは言わなくなった。わりとあっさりしたもんだ。

 7月25日のゾエの誕生日に、わたしは剣道合宿に行っていたので、先週末にお友達を呼んでお誕生会をやった。プレゼントもいっぱいもらった。わたしは乗馬の時に使う、お馬さんのお化粧箱をプレゼントした。ブラシとかひづめのお掃除道具が入っている。


 そして、この二週間ほど、わたしはJPに提出するレポートを、せっせと書いていたのである。だんなにレポートを提出する妻っていうのは、そうはおるまい。これには訳がある。

つづく。。。

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