2009/07/19

革命記念の日

 日本ではなぜか《パリ祭》という名前で呼ばれているらしいが、7月14日は《革命の記念日》だ。マリーアントワネットがギロチンで首を切られた、あの革命だ。
 でもカレンダーには《国民の祝日》と書かれているだけ。JPもお休みだ。7月14日は火曜日だったので、月曜日も休みにして、11日から14日までの四連休にしてしまい、これを利用してゾエをナルボンヌのJPの実家に連れて行こうという魂胆。

 わたしは医者通いと合宿の準備で忙しいし、ノエミはもうすぐキャンプに出発するので、JPも両親の顔が見れるし(わたしも見れるけど)ちょうど良かった。

 4日の間に、海岸で、年寄り抜きのピクニックをやった。JPの従姉フランソワーズとその息子ケビンも参加。ケビンは水泳の選手だ。今月高校卒業試験に合格したので、9月からは大学で科学を勉強する。科学警察官か軍人になりたいのだそうだ。JPの弟夫婦フレデリックとソフィー、その子コランも参加。JPのお父さんがハムの入ったケーキを作ってくれたけど、自分の家みたいにあれもこれもともって出掛けられなかったので、JPに海岸でピザを買わせた。ソフィーの用意したキュウリのサラダとチップスとパンと、男性軍にだけビールがあって、夜の海岸で楽しいピクニックになった。風が出て来て、海岸でピクニックをやってるのはわたしたちぐらいだった。

 翌日は天気が悪く、一日中家でゴロゴロ。こどもたちはプール。わたしは監視。ほかの大人は家族会議。弟が両親の前に住んでいた家を買うことになったので、ダニエルの息子たち三人と両親は、親はまだまだ元気ながらも、《相続》についての話し合いをしなければならない今日この頃なのだ。ダニエルの一族は《話し合う》ってことが下手なので、ど〜もいろいろなことが進まないが、弟の奥さんのソフィーが、とても積極的なおかげで、前よりも話し合う一族になっている。わたしが子供たちを見ている間にっていうことが多いので、わたしはたいしたことを知らない。

 みんなが難しい顔をしてテーブルを囲んでいる間に、わたしは子供たちを遊ばせながら読書と、インターネットなどをいじっている。昼寝とつまみ食いもやった。

 例えばこんな本、四日間大変充実していた。義母の婦人雑誌も見た。

 「古武術と身体」合宿で行う講演のための資料として。読み直し。
 このほかに『中世武家の作法』も読み直した。
 すでに3回ぐらいずつは読んだ。
  

 東野圭吾という作家は、ちょっとサスペンス系と思っていたのだが、『手紙』はちょっと違っていた。泣いた。いっぱい泣いた。
 むかしむかし連城三紀彦の『恋文』という小説も、そのタイトルに心惹かれて買って、ずいぶん心打たれた乙女時代だったものだけど、今回のこの『手紙』も似たような気持ちになれるかと思って買った。でもぜんぜん違った。

 わたし、字は恐ろしく汚いけど、手書きの手紙を書くのが好きだ。ただ長い長い10ページぐらいの手紙なんぞは、いくら私でも誰にでも書くわけじゃない。「この人に書き出したら、やめられない」という人が、ほんの数人いる。そういう人には、返事が来なくてもじゃんじゃん書いてしまう。聞き上手というか読み上手というか、そういう人たちなんだと思っていたものだから。つい甘えてしまっていたのだろう。
 相手はかなり迷惑しているらしい。このごろはインターネットもあるからねえ。

 「返事なんかどーでもいいから、こっちの気持ちを聞いてちょーだい」と、これまで一方的に送りつけて来たが、『手紙』を読み終わったあとに、そういう自分の嫌な性格のことをとっても反省した。この小説の中で、数年間に渡っていやいや手紙を受け取り続けて来た方は、手紙が届くたびに嫌な気持ちになって、「なんで手紙なんか寄越すんだよ」と言いながら破って捨てていた。しまいには引っ越しまでして逃げる。電話もしないし、会いにも行かない。「お気の毒だねえ」と思いながら物語を読んでいたら、手紙を送り続けた方が、最後に絶交を言い渡されて気づく。
「わたしは手紙など書くべきではなかったのです。(略)自己満足だったのです」と反省する。
 「なに、これ、わたし?」と恥ずかしくなっていたら、二日後に、《しつこく手紙を送りつけてるのに、返事をくれない友人》が夢枕に立ち、なにを言っているのかはわからないけれども、わたしのことをがんがん怒鳴る。わたしったら、がんがんがんがん、怒鳴られた。
 その友人からいつか返事が来るまで、もう二度とこちらからは書かないでおこう。わたしに、そんなことが、できるかな〜。うずうず。絶交を言い渡されるまでネチネチしつこく送ろうか?返事が来なくてもいいとは思っていたけれども、友だちを失ってもいいとまでは思っていなかった。それにしても、あんなに怒らなくてもいいのにと、夢から覚めてからずいぶん悲しくなった。いったいどっちが友だち甲斐がないんだろう。

 とまあ、ただの小説にこんなに反省させられたのはひさしぶり。

Aucun commentaire: