2007/01/19

在仏ユダヤ人のこと

 第二次大戦中にユダヤ人が集められて、各地の強制収容所などに送られ、無意味な虐殺や、過酷な労働をになわされていたことは、だいたいみんな知っている。
 わたしは今、アウシュビッツの生き残りというおじいちゃんと、戦争を知らない孫娘の物語を翻訳していて、アウシュビッツでいったいどんなことが行われたか、アンネ・フランクがどんな逃亡生活を送っていたか、ユダヤ人の歴史などについて、参考のためあらためて読み直している最中だ。

 19日、フランスでは在仏のユダヤ人を、かくまい、助けて、虐殺から救ったフランス人 2725人の一般市民をたたえる儀式が行われた。1995年にシラク大統領は、当時の対独協力政権によるユダヤ人迫害について、『仏国家として責任がある』と大統領として初めて認めたにもかかわらず、これまで一般市民が残した歴史上の功績を公式に認定していなかった。

 無宗教墓所パンテオンで開かれた式典の様子を、映像で見たがとても感動的だった。
名誉をたたえられたのは、危険を顧みずユダヤ人を救ったとして、イスラエルのユダヤ人大量虐殺記念館から正式に《諸国民の中の正義の人》という称号を与えられた人のなかから、フランス人2725人だそうだ。
 式典には、尊敬するシモーヌ・ヴェイユさんが、シラク大統領と並んで参列していた。彼女は哲学者。過去には、保健省の大臣だったこともあり、1975年に堕胎の権利などについて打ち出した人。1927年生まれの女性で、1944年3月から45年の1月まで家族とともにアウシュビッツで強制労働をさせられ、生き残った姉妹二人のうちのひとり。隠れたヒーローたちに名誉を与えるために、長く尽力して来た人だ。
 戦争が終わってから名誉をたたえるまで、ずいぶん時間が経ってしまった。生き残った人、彼らを助けた人たちも、ずいぶん数が少なくなっている。シモーヌ・ヴェイユさんとジャック・シラク大統領を囲むように立っていた子供たち。生き残りと、救いのヒーローが私たちに残してくれた、大事な子孫だ。

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