鯉のぼりが優雅にはためくような一日だった。
ネクトーさんと、デートのお約束である。ネクトーさんはフランス剣道界の最年長者で、なんといっても現役だ。私が洞穴でくすぶっていたこの冬、年賀状に「道場での対決を楽しみにしております」と書いてくれた。83歳だそうだ。
暖かくなって、ネクトーさんが毎週日曜日に出て来ているというので、私も毎週日曜日を目安に再開することにしたのだ。
肩が上がらないので、剣道着や防具の脱ぎ着も、一人ではできないのだが、みんなで手伝ってあげる。口は達者、記憶力も抜群で、この人とおしゃべりをしていると楽しくってしょうがない。
前から誘われていたので、ネクトーさんのお宅にお邪魔した。ダンナは抜きだよとウィンクをされたので、ダンナは抜きで伺った。
約束どおりまき寿司を持って、ネクトーさんが好きそうな重箱に風呂敷で行った。
ネクトーさんのお宅には石灯籠も、畳の部屋も、仏壇も、布袋さまの彫刻も、浮世絵も、広重の版画もある。台所には日本食と、日本の食器しかない。
至る所に17世紀の刀や短刀がある。刀を仕込んだステッキや雨傘もある。14世紀のお椀とか、16世紀の彫刻もある。
仏壇のそばに壺が並んでいて、何かと思ったら、奥さんと、息子さんと、その他にも今までに飼っていた動物たちの《灰》だった。2人でお線香を上げて、お経を詠んだ。
よくわからないけど、「ハンニャーハラミター」というのと「ナンミョーホーレンゲッキョー」というのだった。ネクトーさんは「仏教」を学ぶために日本に留学したこともあるそうだ。
池田氏の写真があって、「これは私が写した」というので、ほほおと思った。
6人の美女が季節の着物を着たカレンダーを着物屋でもらっていたので、それをお土産に持って行ったら、とても喜んでいた。アジア系女性が大好きだ。
たくさんおしゃべりをして、いっしょに剣道の形までやって、この前2人で見た試合のコメントをして、お互いの知り合いの悪口を言って、お互いの知り合いを誉めて、すれ違ったり、教わったりした先生方の思い出話をして、お茶を飲んで、まき寿司を食べて、盆栽について習って、あっという間に時間が経ってしまっていた。
帰りに手作りのジャムをもらった。大変珍しい木の実のジャムで、味見をしてから、JPに食べさせたいと言ったら、快く一瓶分けてくれた。そして
「もし腐ってて、ダンナが倒れたら、私が嫁にもらってやる」と言った。
シワシワの男性は、なかなかに魅力的だ。
2006/05/03
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